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イノベーションズアイ コラム第6回 「海外ビジネスで気をつけたい法的制約」

    先日より当ブログでも記事を掲載していますが、サーブコープは現在、イノベーションズアイのウェブサイトにて、コラム「ビジネスで知っておきたい世界の文化の違い」を寄稿させていただいています。

    この度、第6回(最終回)の記事が公開されました!今回のテーマは、「海外ビジネスで気をつけたい法的制約」。サーブコープは、従業員の95%という非常に珍しい企業。女性にとって働きやすい企業としても知られています。今回も、そんな世界中のサーブコープスタッフに、女性の視点から話を聞いてみました。ぜひお読みください!

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    第6回

    海外ビジネスで気をつけたい法的制約

    海外でビジネスを行う上では、避けては通れない法律の問題。今回も世界のサーブコープスタッフに聞いてみました。サーブコープのサービスオフィスやバーチャルオフィスのお客様には、起業間もない方や中小企業が多いので、各地の拠点マネージャーも、ビジネスにまつわる法律に関しては、接点も多いです。世界中にはビジネスをする上で気をつけなくてはいけない法律が無数にありますが、各国のスタッフから教えてもらい、興味深かったものをピックアップしてご紹介したいと思います。

    ■ニュージーランド

    1 - NZ Pension特に興味深かったのは、ニュージーランドには政府に支払う国民年金とは別に、キウィセーバー(KiwiSaver)という任意の年金制度があることです。ニュージーランドでは貯金している人の割合が低いというデータがあり、キウィセーバーは政府から国民の老後生活をサポートする意味で作られた制度です。65歳から年金を受給することができます。会社経営者は、社員がこのキウィセーバーへ加入している場合、雇用主として給与の支給額の2%(2013年からは3%)、税務当局へ支払う義務があります。

    また企業に雇用される場合も、ビジネスを経営する場合も気をつけたいのが、IRDナンバーです。これは税務当局で発行されている、いわゆる納税者番号です。被雇用者としてニュージーランドで働く場合は、このIRDナンバーを雇用主に申請する必要があります。未申請の場合は所得税などを多く徴収されてしまうので、できるだけ早めに取得できるよう気をつけなければなりません。また、ビジネスを運営する企業としてもIRDナンバーを取得する必要があります。これは政府に納めるべき税をきちんと納めているかを税務局が管理する目的があるほか、企業側が受けられる各種課税控除を申請する際にも必要になります。

    ■フランス

    2 - France Businessフランスのスタッフによると、フランスはとにかく法人税が高いということでした。調べてみると、33.33%とかなり割高(イギリスの法人税は26%、アメリカは法人の収入に応じて15~39%)です。ただし、一定の条件を満たす中小企業には当該営業年度中の利益のうち3万8120ユーロまでは15%の軽減税率が適用されます。一定の条件とは、当該営業年度の総売上高(税抜き)が763万ユーロ未満であること、資本金が全額払込み済みであること、当該営業年度中を通じて、資本の75%以上を自然人(またはこれらの条件を満たす法人)が保有していることです。かなり大きな差があるので、フランスでビジネスを展開する際には注意が必要でしょう。しかしながら、日本の法人税率は40.69%と他国に比べて大変高いので、日本人がフランスでビジネスをする際にはあまり驚かないかもしれませんね。

    ■アメリカ

    アメリカでは防衛の観点から、危険産業や国内安全保障に関わる疑いのある産業に対しては厳しい規制が課せられています。ただし、原則的に外資企業は国内企業と平等に扱われる姿勢がとられており、外資の出資率が100%でも問題ないとされています。

    また会社登記に関しては、資本金に関する規制がないため、法的には一定額の資本金を事前に用意する必要は全くありません。数ドル?数十ドルですぐに登記できるので、会社設立がしやすい環境とも言えるでしょう。

    また、ビジネスを運営した際に発生する法人税、所得税、消費税など各種の税は、アメリカ連邦、そして州レベルでそれぞれ課税されます。活動する州により税率が異なるので、確認が必要です。

    ■香港

    香港は、外資企業に対して非常にオープンな姿勢をとっています。外資ビジネスの業種にも基本的に規制がなく、危険産業や環境汚染が懸念される業種に限り規制が行われています。出資比率には制限がなく、外国人出資が100%のビジネスも認められています。

    3 - Hong Kong Moneyまた、現地で外国企業が支店を出す際などは、取締役と秘書役が最低一名づつ在籍している必要があります。登記の際に詳細書類が必須となるので、事前に最低2名の役員を揃える必要があります。さらに、従業員を雇用する場合は、MPFという退職金制度に従う必要があります。これは従業員のための退職金を、従業員と雇用主の双方が積み立てていく制度です。毎月従業員の給与支給額のうち5%が強制的に搬出されるので、こちらも注意が必要です。

    また、香港のメリットのひとつに、税金が少ないことが挙げられます。法人税は16.5%課税されますが、一般消費者と同様、消費税や付加価値税がありません。

    ■中東諸国

    中東諸国はやはり、エリアの保守性の度合いによって法的側面でも特徴が異なるようです。レバノンでは、経済もにおいても外資を歓迎する、リベラルでオープンな姿勢をとっています。例えば、レバノンで活動するジョイントベンチャー(合弁企業)は、レバノン企業の所有率に関する規定がなく、外資が投資されやすい環境と言えるのに対し、保守的なサウジアラビアでは、外資で運営される企業は、第5回で言及した「サウジ人化政策」の一環として サウジ人を雇用するか、もしくは法的な書類申請をする必要があります。

    またアラビア語圏の多くでは、会社登記するをする際、会社名は英語表記のみではなく、アラビア語表記でも登記する必要があります。この点は、日本で登記する際に日本語表記が必要なのと同じですね。

    4 - Abu Dhabi Business Event

    アブダビのサーブコープで行われたビジネス交流会の様子。よく見ると、皆ソフトドリンクを持っています。

    また、興味深かったのは、イスラム教ではアルコールを禁じる戒律がある影響で、中東全域にわたり、企業は特別なライセンスなしにアルコールを第三者に提供することはできないという点です。実際に、中東のサーブコープで開催しているビジネス交流会などのイベントでも、ワインなどは一切出さずに、ジュースなどのノンアルコール飲料のみとしています。特に保守的でルールが厳しいサウジアラビアでは、ビジネスに限らず、個人としてアルコールを所持することが禁止されており、見つかれば犯罪者として投獄されます。それに対し、比較的リベラルなバーレーン、レバノン、UAEなどでは、個人で自由にアルコールを購入したり、バーでお酒を楽しむことができます。

    以上、ビジネスで気をつけたい世界各地の法的規制についてご紹介しました。ビジネスを運営する上で、個人として一般生活に関わる法律を守ることはもちろん、法人としての法令順守、従業員の雇用にまつわる義務を果たし、正しく納税することが求めらます。ビジネス展開の形態により、事前にじっくり調査をしてリスクの少ない運営を心がけたいですね。

    さて、今回でサーブコープのコラム「ビジネスで知っておきたい世界の文化の違い」は最終回となりました。今までコラムをお読みいただき、ありがとうございました。

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    気になることなどあれば、現地スタッフにさらに詳しく質問してみますので、ぜひお気軽にフェイスブックやツイッターにてお声かけくださいね!(ライター:平井)

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