AIビジネス活用事例まとめ!生成AIや導入時の注意点も解説
AIビジネスを活用することで、自社の業務にどのような影響があるか知りたいという方向けに、AIのビジネス向け活用事例から、個人でも取り入れられる日常業務での活用法、導入にあたっての注意点までわかりやすく解説します。
AIビジネスとは?

AIビジネスとは、AI(Artificial Intelligence:人口知能)を活用した技術でビジネス上の課題を解決すること、またはAI技術を使って開発されたビジネスサービスを指します。
ChatGPTをはじめとする生成AIの登場、少子高齢化に伴う人手不足、働き方改革などを背景に、業界や企業規模を問わずDX推進が叫ばれるなか、AIを活用したさまざまなサービスが提供されています。
代表的なAIの機能
AIが得意とする「データ・情報・知識を収集し、それらを学習することで結論を導き出す」という技術が具体的にどのように応用されているか、代表的な機能を確認しましょう。
画像認識 | 静止画像や動画解析し「何が映っているのか」を認識できます。たとえば「人の顔」を検知する顔認識や、文字列を読み取ってテキストデータに変換するOCR(光学文字認識)、データベースに登録した画像との同一度を検知するオブジェクト認識など、さまざまな場面で使われています。 |
音声認識 | デジタルデータとして取り込んだ音の波形を解析し、言語として認識できます。単に言語を抽出するだけでなく、声の高低やスピードなどの違いを認識し、話者を識別するのはもちろん、感情を分析することも可能です。 |
自然言語処理 | 人が日常的に使う言葉を解釈・認識できます。たとえば、コンピューターを動かすためのプログラミング言語を使わなくても、自然な言葉を用いてタスクを実行させたり、バーチャルアシスタントとして求められた役割を理解し、必要な情報を返したり、異なる言語間の自然な翻訳を行ったりするなど、言語処理の際に役立ちます。 |
推測/予測 | 膨大なデータからパターンを学習し、その発生確率を予想するのがAIの得意分野です。上記の画像認識や音声認識にも利用されています。このAIが得意な推測・予測の技術は、物流管理や医療診断などにも活用され始めています。 |
機械制御 | 人間が状況に応じて機械やシステムを調整するように、AIを使って機械やシステムが自動で制御できます。これまでも「現在地と目標値の差から目標値に近づけることで自動制御を行う「PID制御」という仕組みが活用されてきましたが、より複雑な状況での最適化を目指せるようになりました。 |
AIビジネス活用でよく聞く「生成AI」とは?

AIビジネスについて検討する際、必ず登場する言葉に「生成AI」があります。基礎知識として簡単に確認しておきましょう。
生成AIとは?
生成AIとは、既存のさまざまなデータを学習し、そこから新たなデータ・コンテンツを生み出すAIを言います。
生成AIを活用した代表的なサービスの一つが「ChatGPT」です。自然な文章表現を生み出すチャット形式のサービスで、2022年のサービス開始から非常に速いペースで利用者を増やしています。
生成AIにできること
テキスト生成AIをはじめ、それぞれ得意分野に特化したさまざまな生成AIが登場しています。主な分野とサービス例を紹介します。
| 主な分野 | 代表的なツール | サービス例 |
| テキスト生成AI | ChatGPT、Geminiなど | テキスト生成AIは、文章を作成したり、要約、翻訳、対話などを支援する技術です。文脈を理解し、自然な言葉で応答できるため、企画書やメール文、物語の作成など幅広く活用できます。創造力の補完や思考を整理したりするのにも役立ちます。 |
| 画像生成AI | Google Imagen、Canva AIなど | 画像生成AIは、入力されたテキストや画像をもとに、新しいビジュアルを生み出す技術です。イラストや写真のような画像、デザインのアイデアなどを生成でき、企画のイメージを共有したり、クリエイティブな活動をサポートしたりするのに役立ちます。この技術を使うことで、頭の中にある発想を簡単に形にでき、表現の幅を広げてくれます。 |
| 動画生成AI | Adobe Firefly、Soraなど | 動画生成AIは、テキストや画像、音声から短い映像を自動生成する技術です。プロモーション動画や教育コンテンツ、イメージ映像の試作などに活用され、企画のイメージ共有や表現の幅を広げるのに役立ちます。 |
| 音声生成AI | Text-to-Speech、音読さんなど | 音声生成AIは、テキストをもとに自然な音声を作り出す技術です。ナレーション、案内音声、キャラクターボイスなどを生成でき、動画制作やサービス案内、創作活動などで活用されています。これにより、手軽に音声表現の幅を広げることができます。 |
| 音楽生成AI | Soundraw、Sunoなど | 音楽生成AIは、ジャンルや気分、メロディの指示に合わせて楽曲を自動で作り出す技術です。BGM、効果音、デモ曲などを生成でき、動画やゲーム制作、さまざまな創作活動に活用されます。音のアイデアを形にする手助けになります。 |
業務別のAIビジネス活用事例

AIビジネスを業務にどのように活用できるか、具体的な職種や業種をもとに紹介します。
マーケティング
市場データを分析し販売戦略を策定するマーケティングは、AIと非常に親和性の高い業務分野です。たとえば、顧客行動のより精密な数値化と行動予測、Web広告入札の自動化、Webサイト・メール・SNSなどの顧客最適化、コンテンツの生成、需要の予測などにAIを活用すると、より迅速で個別的なマーケティング活動が可能になります。
バックオフィス
バックオフィス、いわゆる事務はAIの得意分野です。たとえば、経費精算ではレシートを撮影するだけでデータ化・分類します。契約書や企画書などのデザインや校正作業、各種データ集計、議事録の作成など、定型のルーティン業務から発生頻度の低い業務まで、属人化させずに標準化できるのが大きな魅力です。
システム開発
AIは要件定義から設計、製造、テスト工程に至るまで、ソフトウェア開発分野に幅広く適用されています。これに伴いさまざまなツールが開発されています。設計書からプログラムコードの自動生成やテストの自動化など、多くの工程でAIが活用され、作業の効率化と開発スピードの向上につながっています。
製造・物流
製造業・物流業に特化したAIでDX化を促進する技術開発も進んでいます。画像認識を使った検品、在庫管理や膨大な技術資料の検索、あるいは過去のメンテナンス履歴から今後の故障を予測する保守管理アラートなど、これまで現場で長い経験を積むことが求められてきた業務をAIが代替し始めています。
金融・保険
「フィンテック:Finance(金融)+Technology(技術)」「インシュアテック:Insurance(保険)+Technology(技術)」という造語が生まれるほど、革新的なサービス開発に力を入れてきた金融・保険業界でももちろんAIが活用されています。AIによる自動投資、サイバー攻撃や不正利用の検知、リスクのスコアリング、損害写真の解析、顧客の健康データに基づいた保険商品の開発など、次々に新しい技術が導入されています。
日常業務でのAI活用例

業種や職種、企業規模や地域に関わらず、多くの会社で必要な日常業務において、比較的容易に導入可能な活用事例を紹介します。
メール・議事録・提案書作成
ChatGPT、Claude、Geminiなど、ビジネスではなく一般の方も多く利用しているテキスト生成AIを用いて、各種文書を簡単に作成できます。適したフォーマットを作成する、時候の挨拶を調べるといった一つ一つの作業をする手間は必要ありません。また、録音機能からそのまま文字起こし、議事録の作成まで進めることも可能です。
電話の自動音声応答
話し言葉で対応できる自動音声応答の機能も近年大きく進化しています。これまで「営業時間外」として電話対応できなかった時間帯も、AIによる自動応答サービスによって、365日24時間対応が可能になりました。たとえば、オフィスの代表電話の自動取次や、不要な営業電話の受電拒否、問い合わせ内容の即時データ化などが、代表的な活用例です。
翻訳・ローカライズ
生成AIの登場で、専門分野を含めて翻訳性能が飛躍的に向上しています。サイト上の英文であれば、簡単に日本語訳が表示されるようになりました。また、海外に事業展開する際、自社商品を現地の文化や習慣・法律に合わせて最適化するローカライズにも役立ちます。単なる翻訳だけでなく、人気の高いデザインやその地域での一般的な表示形式も反映できます。
データ分析や改善案の検討
経年収集してきた大量のアンケートデータから顧客分析を行い、改善案の検討に活用できます。特に、顧客アンケートの自由回答など、人であれば一つ一つ確認が必要な内容も、AIなら短時間で傾向分析と分類が可能です。
SNS運用
SNSは広報・広告だけにとどまらず、販売チャネルや問い合わせ窓口としても重要な役割を果たしています。InstagramやTikTokなど、主なSNSで投稿するコンテンツ文章や画像の生成をサポートするAIツールを利用できます。
AIを導入・活用している企業事例
AIを業務に導入・活用している企業オリジナルの取り組み事例について、その一部を紹介します。
パナソニック コネクト
パナソニックコネクト株式会社は、ChatGPTをベースに開発したAIアシスタントサービス「ConnectAI」により、導入からわずか1年で全社12,400人の労働時間を18.6万時間削減しました。社外秘情報である品質管理規定や過去の事例に関する情報をConnectAIに取り込み、これまで経験者のノウハウに依存していた情報を全社で共有できるようにしています。
(参照:https://news.panasonic.com/jp/press/jn240625-1)
アルフレッサ・ヤマト運輸
医療用医薬品卸のアルフレッサ株式会社とその物流を担うヤマト運輸株式会社は、共同でAIを活用した配送業務量の予測システムを構築しました。これまでの販売・物流・需要予測などのビッグデータをAIが分析し、配送業務量を予測して適切な配車計画を行うシステムです。実証実験段階で、10数~20%弱まで配送生産性の向上を実現しています。
(参照:https://www.yamato-hd.co.jp/news/2021/newsrelease_20210803_1.html)
セブン-イレブン・ジャパン
フランチャイズ店舗での働きやすさ向上の取り組みの一環として、AI発注システムを全店舗に導入しています。従来の「店舗従業員が在庫を手動管理し、一定数を下回った場合に発注」という仕組みから、天候や販売実績データをもとにAIが需要予測を行うことで、発注業務に要していた時間を約40%の大幅な削減となりました。
(参照:https://sustainability.sej.co.jp/action/000107/)
AIをビジネス活用するメリット

AIを活用することで、ビジネスには多くのメリットがあります。特に注目したい6つのメリットについて、その理由を解説します。
業務効率化・生産性向上
生成AIの活用により、これまで人の手で行っていた業務を自動化し、大幅な時間短縮とミス削減を実現できます。需要変動や営業時間外の対応にも柔軟に対応可能です。
人材不足の解消
人口減少に伴う人手不足が加速する日本で、特に期待が大きいメリットが労働力の補完です。特に、事務職・専門技術職・販売職・保安職といった分野で、AIによる効率化が実現できると見込まれています。
コスト削減
AIによる自動化で人件費や教育・採用コストを削減できます。導入・運用コストは発生しますが、長期的には全体の経費削減効果が期待されます。
人的ミスの防止
人が介在する以上、完全に防ぐことができない人的ミスがあります。AIには、この人的ミスをリアルタイムで発見するヒューマンエラー防止システムがあります。たとえば、画像認識機能を使って検品しアラートを出す、経理で勘定科目の異常値を自動検出するなど、ミスの早期発見で大きな問題を予防できます。
顧客満足度の向上
顧客満足度を左右する要素に、レスポンスの早さがあります。問い合わせのファーストステップでチャットボットを活用している事例は多く、これからさらに顧客一人ひとりに合わせたレコメンド対応が可能になっていきます。さらに、チャットボット上の顧客とのやりとり履歴そのものが次のサービス品質を向上させるヒントになるでしょう。
新規ビジネス創出
生成AIの利用そのものが新規ビジネスとして急速に普及しました。AIを活用することで、アイデア創出や市場分析を効率化し、新しいビジネスモデルの構築を支援します。生成AIを活かしたサービス開発も拡大しています。
AIビジネス活用の注意点・課題

AIビジネスが本格的にさまざまな業務に活用されるようになりましたが、その歴史はまだまだ浅く、どのようなトラブルが生じる可能性があるか、その知見はまだ十分に集まっているとは言えません。
AIビジネスを導入する前提として、必ず確認しておくべき注意点や取り組むべき課題を紹介します。
活用目的を明確にし、目的に合ったAIを導入する
多種多様なAIツールがあるなかで、どのツールを選べばいいか判断する基準を持っていない場合、オーバースペックもしくは機能不十分なツールを選んでしまう、運用できる担当者がいないなどのミスマッチが起こる可能性があります。
社内ルール・ガイドラインを整備する
生成AIはまだ「発展途上」とも言えます。今は予期していないトラブルが発生する可能性も少なくありません。AIをどのように利用するのか、基本的なルールとガイドラインを社員全員で共有しましょう。
ガイドライン作成に役立つ例として、東京都、総務省、経済産業省が公表する活用ガイドライン・事業者ガイドラインを参考にしてください。
参考:東京都デジタルサービス局 – 文章生成AI利活用ガイドライン
参考:総務省 – AI利活用ガイドライン
参考:経済産業省・総務省 – AI事業者ガイドライン
ハルシネーションに注意する
ハルシネーションとは、生成AIが膨大な情報のなかから事実とは異なる情報や存在しない情報など、問いに対して「もっともらしい」回答を推測して作り上げてしまう現象です。この「不確実さ」への対処はAIビジネスの大きな課題となっています。
責任の所在を明確にする
AIによる著作権やプライバシー侵害、または損害が発生した場合、どのように責任を負うか、保証条項・免責・責任制限条項を含めた利用規約を必ず確認しましょう。自社がAIビジネスを展開する場合も必ず法的責任に対する備えが必要です。
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(まとめ)AIビジネス導入後も常に情報更新が必要
AIビジネスは活用次第で自社の業務効率を大幅に向上させたり、経費を削減できたりといった可能性があります。また、その進化のスピードは早く、常に新しいAIビジネスの活用方法について情報収集が必要です。
その一方、仕組みを理解するのが難しいということは、使い方を誤って大きな失敗につながるリスクがあるということでもあります。
「導入して終わり」にならないよう、知識の更新・習得に全社員で努めましょう。



