サーブコープブログ知識・ノウハウ【中小企業診断士解説】起業に必須の事業計画書の書き方と作り方

【中小企業診断士解説】起業に必須の事業計画書の書き方と作り方

起業時に活用する補助金や助成金、融資制度の中には、事業計画書の提出を求めるものが少なくありません。

資金的なサポートを受けるには、合理的で実現可能性の高い事業計画が必要になります。

本記事では中小企業診断士として8年、中小企業経営者の支援に取り組んできた中郡久雄さんに、事業計画書の書き方や押さえるべきポイントなどを解説していただきました。

事業計画書とは? 起業に必要な3つの理由

事業計画書とは、前述した通り、補助金や融資を申請する場面で求められる、事業の概要や目的、具体的な行動や見込まれる収益などを説明するための文書です。

たとえ、資金的なサポートが必要なくても事業計画を立てた方が良い理由はいくつかあります。

ここでは代表的な3つの理由を説明します。

ビジョンやミッションを明確にするため

事業計画を作成するにあたり、自社のミッションを明確にすることはとても重要です。

最近では特に、企業のミッションに共感して、商品やサービスを購入するというユーザーが増えています。

起業した目的を見失わないためにも、ミッションや存在意義を明確にしておきましょう。

資金調達を得るため

起業後の初期段階では資金繰りの問題に陥りがちです。

そうならないためにも、事前に公的な助成金や補助金、金融機関からの借り入れなどの資金サポートを利用することが大事です。

そのためには事業計画書の提出が欠かせません。

事業に必要な資金を調達するため、事業の魅力を伝え、ビジネスプランを示し、事業の実現性や将来性を説明できる計画書を作成しましょう。

事業計画の見直し軌道修正を図るため

事業計画を立てても、もちろんその通りに進むわけではありません。

しかし、計画があれば、なぜ計画と違ってしまったのか、事業内容を見直し、軌道修正を図ることが可能です。

私の経験上、事業計画書を作っていない人は「なんとなくうまくいっている」「なんとなくうまくいっていない」など自己評価がぼんやりし、中には事業の目標を見失い迷走している人も見られます。

事業計画書の書き方と盛り込むべき9つのポイント

では、事業計画書にはどんな項目を盛り込むべきなのでしょうか。必ず入れるべき9つのポイントを説明していきます。

ミッション

「この事業でやるべきこと」がミッションです。 起業を志した思いを明文化してもので、事業の根幹にあたります。

ミッションが曖昧だったり、事業計画書の他の項目と矛盾をきたしていたりすると、計画書自体が台無しになります。

誤解を招かないためにも、わかりやすい表現を心がけましょう。

代表者プロフィール

あなたがどんな人物かを知ってもらうのは、事業をアピールする上で魅力ポイントにもなります。

起業したきっかけや起業への志は、あなたの過去の経験に潜んでいるはずです。

「こんな経験・経歴があるから、私にはこの事業を始める資格があるのだ」と伝わるように書くことを心がけましょう。

事業概要と取扱商品/サービス

次に、事業で取り扱う商品やサービスの全体像をイメージしてもらう必要があります。

想定しているお客様は誰か、どんな商品・サービスをどのように提供するのかなど、おおよその事業内容を記載しておきましょう。

「この先も読みたい」「もっと詳細に知りたい」と思ってもらえれば成功です。

市場の魅力度

どんなに強い思いを持ち、優れた商品を取り扱っていても、市場、つまり、ニーズがなければどうしようもありません。

計画している売り上げ規模に見合うだけの市場であるかどうか市場分析を行い、ニーズの有無と市場の成長性を確認しましょう。

その上で、自社の商品やサービスがいかに魅力的であるのかを、客観的なデータを用いながら記載するといいでしょう。

SWOT分析と自社の強み

自分たちの「強み」を活かした事業を展開するのは基本ですが、それがどれだけの強みなのかを客観視するのは意外と難しいものです。

強みだと思っていることが独りよがりになっている可能性もあります。

そこで活用したいのが「SWOT分析」です。

SWOTとは強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats)の略。

4つの要因をもとに自社を分析し、強みとともに弱みを、そして外部環境における機会と脅威を整理してみましょう。

競合の情報

もう一つ、自社分析をするのに有効なのが競合他社との比較です。

競合すると思われる企業の情報をできる範囲で確認し、自社が優れている点を洗い出しましょう。

もし劣っている点があれば無理に隠そうとせず、カバーできるだけの強みを説明するのがおすすめです。

ビジネスモデル

ここまで検討してきたことを踏まえて、「ビジネスモデル」を考えます。 ここでポイントになるのが次の2点です。

i. 自分たちの事業が生み出す付加価値は何か、を明確にする。

ii. その付加価値は競合他社とは何が違うのか、を明確にする。

つまり、お客様へ提供できる価値と、その価値は他社と差別化できていることを示し、自社のキャッシュポイントをはっきりさせることが大切です。

文章にまとめる時は「バリューチェーン」のフレームワークを活用し、どのポイントで自分たちが他社以上の強みを発揮して、どのポイントで対価に値する付加価値を提供できるのかを説明しましょう。

アクションプランとスケジュール

事業の目標を達成するために、何をするかを決めるのが「アクションプラン(行動計画)」です。

たとえば「売り上げ1億円」という「目標」を達成するために「◯◯までに30店舗まで拡大する」といった行動計画とスケジュールです。

アクションプランとスケジュールは、無謀なものではなく、頑張れば実行できる計画を立てましょう。 また、計画はできるだけ具体的に。

その方が、目標を達成できなかった時に、何が足りなかったのか、目標が高すぎたのか、あるいは計画の有効性が低いものだったのかなどをしっかり評価、検討できます。

収益計画

収益計画とは、初期費用がどの程度になるか、また事業開始後の収支を予想したものです。

売り上げがどれくらい見込めるか、どの程度の仕入れや製造原価が発生するのか、さらに売り上げ見込みを達成するために、どの程度の販売費が必要になるのかなどを数値化します。その上で、収支予想を立てましょう。

ポイント!

注意したいのは、会計上の利益と手元の現金は一致しない点です。 取り引きでは、売り上げがあってもすぐに現金が入金されるわけではありません。

一方、製造原価にあたる費用は特に、売り上げに先行して支払いが生じます。

つまり、収支計画では黒字になっていても、手元現金はマイナスになってしまうことは十分にあり得ることです。

売り上げが大きいほど、手元資金はショートしやすくなるということでもあります。

理屈ではわかっていても、起業したばかりだとこの感覚がなかなかつかめません。

そのため、収支計画と合わせて資金繰り計画を作り、合わせて記載するのがおすすめです。

自分の想定通りに売り上げが伸びた場合、いつ資金ショートが起こり得るのかを事前に予想し、資金調達の方法を考えておきましょう。

中小企業診断士がアドバイス! 事業計画作成上の注意点

 

以上、事業計画書の作成に必要な内容を説明してきましたが、最後に中小企業診断士として3つの注意点をご紹介します。

良い点しか書かない

「事業計画書」作成の目的には、周囲の人の共感を得るため、ひいては金融機関から融資を受けるためと説明しました。

そのためか、少しでもよく見せようとして、良い点ばかりを並べる計画書をたびたび見かけます。

しかし、それでは事業に対する信憑性が下がるのでおすすめしません。

弱点や欠点になり得ることも隠さず明らかにすることで「自分のことを客観的に見られる人」だと評価され、信頼度も上がります。

根拠なく希望的観測だけで書いてしまう

売り上げ数字や経費の見込みを、具体的な算出根拠なく提示している計画書もよく見ます。

しかし、その計画書を評価する側は、数字以上に算出根拠を見ています。

根拠あるかないかは、合理的に考えられる人であるか否かの証しになるので、希望的観測だけで書かないように注意しましょう。

可能なら「追い風を受けたケース」「通常のケース」「うまくいかないケース」の3パターンくらいの予想を立てられるとより良いでしょう。

専門用語を多用する

自分の得意分野で起業する人が多いせいか、どうしても事業計画書に専門用語を使いすぎる節があります。

専門知識のない読み手からすると「専門用語が多すぎてよくわからない」となりがちです。

事業計画書を一度書き上げたら、自分たちでは気づかない点を指摘してもらうために、専門外の人に目を通してもらうことをおすすめしています。

誰にでも読みやすい計画書の作成を心がけてましょう。

事業計画書の無料テンプレートやマニュアルを活用しよう

いざ、事業計画書を作成する段階になったら、マニュアルやテンプレートをダウンロードしてみましょう。

2つの便利なページをご紹介します。

Jネット21

独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する「J-ネット21」のホームページには、「事業計画書の作成手順」が掲載されており、事業計画書フォーマットもダウンロード可能。

マニュアルに沿ってフォーマットを埋めていけば、計画書のできあがりです。

https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list5/5-1-2.html

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫のホームページからは、「創業計画書」がダウンロードできます。創業計画書の作成に役立つ参考資料も掲載されているので、参考するのも良いでしょう。

日本政策金融公庫には「創業融資」の制度があり、起業時に借り入れするなら一番相談しやすい金融機関です。融資を受けるならぜひ活用してみてください。

https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html

事業計画書の作成について、概略を説明してきました。 最初は敷居が高いと感じるかもしれません。

最初から完璧な計画を作ろうしなくても大丈夫です。ざっくりと全体を作ってから、周囲のアドバイスを得て、精緻な計画書にブラッシュアップしてください。

起業後しばらくの間は、この事業計画書が、事業を進める上での羅針盤になります。手を抜かず、作り込んでいってくださいね。

経費削減につながるシェアオフィスを紹介

いかがでしたか。中小企業診断士の中郡さんに、事業計画書の作成について解説していただきました。

起業後しばらくの間は、事業計画書が事業を展開する上で大切な指針となるそうです。

ぜひ今回の記事を参考に、計画書の作成にチャレンジしてみてください。

「収益計画」を立てる際に説明が必要となる初期費用ですが、起業当時の大幅な経費削減につながるのが、レンタルオフィスでよく知られているシェアオフィスの活用です。

なぜ、初期費用の削減につながるのか、主な5つのメリットを解説します。

オフィス開設のコストが抑えられる

賃貸オフィスの場合、入居時に支払う敷金や礼金、保証金などの負担が非常に大きいです。

一般的に賃料6~12カ月分の賃料を保証金として支払う場合が多く、それだけで数百万円単位の支出になります。

その点、レンタルオフィスは入居時に保証金を求められることがあっても賃料1~3カ月分程度なので、ベースとなる賃料自体が低いことから初期コストをかなり抑えることができます。

オフィス家具やITインフラが整っている

シェアオフィスには、デスクやチェア、収納など、オフィスに必要な環境を完備しています。

ITインフラも自社で導入する必要がなく、Wi-Fiやプリンターなどを入居後すぐに利用することが可能です。

好きなタイミングで解約しやすい

通常の賃貸オフィスは、年単位で賃貸契約を結ぶケースがほとんどです。

一方、シェアオフィスは、1カ月単位で借りられる場合が多く、好きなタイミングで解約しやすいため、BCP対策・リスク軽減という意味においても大きなメリットになるでしょう。

ビジネスに必要な住所を利用できる

経費削減ができるため、起業直後は自宅で仕事をする人が少なくありません。

しかし、自宅の住所をホームページや名刺に記載するのは信頼性に欠け、集中しにくい、来客対応ができないなどのデメリットもあります。

その点、シェアオフィスなら契約した拠点の住所で法人登記ができるほか、仕事がはかどる快適なオフィス空間を手に入れることもできます。

事務スタッフを雇用する必要がない

他にも、受付や電話秘書代行サービス、庶務や経理などを任せられる秘書のいるシェアオフィスを選べば、オフィスの初期費用だけではなく、人件費の削減にもつながります。

 

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文・中郡久雄

2013年、中小企業診断士資格を取得。中小企業の経営支援、事業承継支援や地域活性化を目指すNPO法人を支援。中小企業診断士(経済産業大臣登録)、事業承継マネージャー(金融検定協会認定)、印刷会社経理兼経営企画担当、インタビューライター。

https://note.com/h_chugun

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