公式HP サーブコープブログ知識・ノウハウ元国税局職員が解説する「確定申告で誤りの多い3つのケース」

元国税局職員が解説する「確定申告で誤りの多い3つのケース」

年末年始を過ぎると、確定申告のシーズンが始まります。国税庁が公開している「確定申告で誤りの多い事例」の中でも、特に注意が必要な「寄附金控除(ふるさと納税)の誤り」「副収入の申告漏れ」「医療費控除の誤り」の3つについて、元国税局職員で現在はフリーライターの小林義崇さんにお話をお聞きしました。

「ふるさと納税で6以上の自治体に寄付したとき」は確定申告を

最近CMでもよく目にするようになった「ふるさと納税」。地方自治体に寄付をすると、寄付額のほとんどが減税として戻ってくることに加え、各自治体から独自のお礼品をもらうことができる制度です。

ふるさと納税を利用するにあたり、小林さんは「6以上の自治体に寄付をする場合は要注意」と指摘します。平成27年4月から「ふるさと納税ワンストップ特例」がスタートし、寄付をする自治体に所定の申請用紙を提出すれば、確定申告を省略できるようになりましたが、この特例は「最大5自治体までの寄付」にしか対応できません。

つまり、1年間のうちに6以上の自治体に寄付をしていた場合、確定申告が必要となります。

[小林check!]
確定申告をする場合は、地方自治体から発行される寄附金受領証明書が必要になるため、きちんと保管しておくことが必要です。

副収入の申告漏れは年間20万円超から

次に間違いの多い事例に挙げられているのが「副収入の申告漏れ」です。副業やネットオークションなどで収入を得ている方は、その額によっては確定申告が必要になります。

会社員の場合、一般的には年末調整をすれば確定申告をする必要はないのですが、副収入から経費を引いた所得が20万円を超えると申告が必要になります。

確定申告に馴染みがない会社員は、副収入の申告を忘れがちですが、税務署ではマイナンバーなどから個人の収入情報を集めており、申告漏れが発見されて税務調査になる場合もあります。

[小林check!]
副業などで年間20万円以上の所得を得ている人は確定申告が必要です。申告漏れが後から分かると、加算税などの追徴税が課される可能性があるので、普段の給料以外に副収入を得ている人は気をつけてください。

ドラッグストアのレシートでも医療費控除を使える?

多額の医療費を支払うと税金を節税できる「医療費控除」をご存知の人も多いでしょう。ただし、どんな支払いが医療費控除の対象になるかを確認しておく必要があります。

たとえ薬局で支払ったとしても、ハンドクリームなどの日用品は医療費控除の対象にはなりません。国税庁ホームページに記載されているとおり、医療費控除の対象となるのは、基本的に治療や診療の対価など限られた費用となります。もし領収書やレシートに医療費とそれ以外のものが混在している場合は、対象になる金額だけを抜き出して医療費控除に計上する必要があります。

厚生労働省広報誌「厚生労働」より

 

また、平成29年1月1日からスタートした「セルフメディケーション税制」についても小林さんから解説いただきました。セルフメディケーション税制は、特定の医薬品をドラッグストアなどで購入したときに使える控除で、風邪薬や目薬、鼻炎薬など、さまざまなものが対象になります。

どのような医薬品が対象になっているかは厚生労働省のホームページなどで確認できますが、商品の多くには以下のロゴが入っており、レシートにも表示されているので判断の参考にしてください。

[小林check!]
医療費控除とセルフメディケーション税制は、いずれか一方のみを利用できます。どちらが有利になるかは1年分の集計をしてみないと分からないので、病院や薬局で受け取る領収書はもちろん、ドラッグストアなどのレシート類も取っておいた方がいいでしょう。

分からないことは税務署に聞いてみる

最後に、小林さんから確定申告の誤りを防ぐ方法についてお聞きしました。

「まず、おすすめしたいのは、分からないことは税務署に聞くということです。確定申告が近づくと、税務署の多くでは相談会場が設けられ、職員が相談にのってくれます。

相談会場は税務署内の場合もあれば、外部のホールに設置されている場合もありますから、あらかじめ税務署のホームページなどで調べておくといいでしょう。確定申告時期の相談会場は非常に混み合います。あらかじめ自分で調べられることや用意できることは進めておき、分からないポイントを絞って質問すると、手続きがスムーズです。

また、会場に直接行くことが難しい場合は、電話相談も可能です。いざ、確定申告書を自分で作成するときは、国税庁の「確定申告書作成コーナー」に必要な情報を入力すれば申告書を作成できます。計算誤りも防げるのでおすすめです。

いかがでしたか?確定申告の必要があるビジネスパーソンは、今回ご紹介したポイントを参考に、スムーズな手続きを進めましょう。

 

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