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誤解だらけ!?企業の「ダイバーシティー」の意味とは?

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※2015年09月04日に公開された記事を再編集したものです。

「ダイバーシティー」あるいは「ダイバーシティー・マネジメント」という言葉を知っていますか?

「ダイバーシティー(diversity)」という言葉は、通常「多様性」と訳され、企業経営においては人種・国籍・性・年齢は問わずに人材活用する「人材と働き方の多様化(多様性)」を意味します。ダイバーシティー・マネジメントは、多様な人材の雇用や勤務を可能とするシステムを指します。

最近では「LGBT(レズビアン/Lesbian、ゲイ/Gay、バイセクシュアル/Bisexual、トランスジェンダー/Transgender)」の受け入れに動き出した企業も増えています。経済産業省では2015年より「新・ダイバーシティ経営企業100選」を選定するなど、日本企業が今後より一層力を入れて取り組むべき課題として注目を集めています。

今回は、日本におけるの企業のダイバーシティーについて考えてみましょう。

女性の活用から始まった、日本のダイバーシティー

そもそも、ダイバーシティーという言葉が日本で急速に広がり始めたのは2004年。経済同友会が人事・経営戦略として、ダイバーシティーを提起したことがきっかけと言われています。つまり、その頃のダイバーシティーは企業における人事政策の一つとして理解されていました。そして、「ダイバーシティー=多様性の尊重」という一面的な理解の中で、多くの企業が女性の活用に力を入れ始めたのです。

確かに、多人種・多民族・多文化・多宗教が共生する米国などと違い、日本の企業社会にとって「多様性の尊重=マイノリティの尊重」が女性の活用に結びつくことは、ある意味で当然の流れだったと言えます。かつての日本企業社会の中で“最大の少数派”は、女性だったからです。

日本企業のダイバーシティーは、“属性の多様性”という認識へ

しかし、その後、女性だけではなく、高齢者、障がい者、外国人などが、尊重されるべき少数派として認識されるようになります。

その背景には、さまざまな理由があります。

例えば、経済のグローバル化が進む中で、外国人雇用の必要性が高まったこと。あるいは、労働力人口の減少に直面し、高齢者の活用が求められたこと。価値観の多様化が進む中で、企業の競争力強化のために、多様な人材の活躍を必要としたことなどです。

ダイバーシティーにおける、働き方や場所、雇用形態の重要

属性以外にも、企業のダイバーシティーには、働き方や場所、雇用形態の多様性も含まれます。近年話題に上がることが多い「ワーク・ライフ・バランス」や「テレワーク」もダイバーシティーに関わる事項です。

例えば、女性が仕事と育児を両立させるためには、育児休暇を取ったり、在宅勤務ができたりなど、柔軟な働き方をできることが重要となるためです。ほかにも、正社員や契約社員、派遣社員などの雇用形態、在宅や地域限定社員など働く場所の多様性も含まれます。

現在、日本企業のダイバーシティーは、多様な人材の属性に合わせて、働き方の多様性を受け入れるという課題に移りつつあります。

真の目的は、チームの総合得点を高める点にある

こうして、ダイバーシティーは、その対象者を女性、高齢者、障がい者、外国人、ニート・フリーター、LGBTといった属性の人々の採用・活用に広がり、働き方の多様性も企業の経営施策に盛り込まれるようになりました。さらに、大企業に留まらず、中小企業においても、ダイバーシティーの取り組みが広がりつつあります。

このような流れの中で、日本の企業におけるダイバーシティーは、CSRの一環として捉えられる傾向を強くしていきます。その結果、「女性管理職が何割います」「外国人、高齢者を何人雇用しています」といったダイバーシティーに対する理解が表層的なレベルに留まっているのではないか、という厳しい意見もあります。

例えば、イー・ウーマン社長の佐々木かをり氏は、ダイバーシティーについて次のように語っています。

「グローバル社会になり、ITが進んだ今、一つの価値観でモノを決め進めていくことが、うまく働かない。一つの商品を生み出すにも、その商品を宣伝するにも、さまざまな立場からの意見を取り入れ点検し、なるべく多くの人に届くように、配慮してモノづくりやコミュニケーションをする必要が出てきたのです。そうすると、多様な思考の人をチームに入れる必要があります。」

ダイバーシティーの目的は、採用ではなく“多様な視点の活用”

つまり、ダイバーシティーをCSRの視点ではなく、企業の競争力強化の観点から捉え、多様な人材の雇用を「組織の中の思考の多様性」に結びつけていくべきだと、指摘しています。

東京商工会議所がまとめた『中小企業のためのダイバーシティー推進ガイドブック』も、次のように書いています。

「終身雇用を前提とした男性総合職の従業員だけでは、これからの経営が成り立っていかないことは自明です。様々な異なった個人の異なったモノの見方を、経営上の決定、日々のオペレーションそのものに活かしていくことが急務です」

佐々木かをり氏は、「ダイバーシティーの最終目的は、『チームの総合得点を高めること』です」と語っています。そのチームが、長い間、男性中心で運営されてきた日本の企業にとって、女性の活用は重要なことです。しかし、女性管理職の数値的目標や女性トイレの環境改善が、チームの総合得点を高める「真の」ダイバーシティーと言えるか、本質的な問いを持つことが大切です。

常に自分の意見を述べる自立した意思を持った社員と、少数派の見解であっても、オペレーションに反映される柔軟な組織づくりがあって初めて、真のダイバーシティー・マネジメントが実現していくことでしょう。

 

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※参照元
電通報『佐々木かをり氏「ダイバーシティーが、未来を拓く」』http://dentsu-ho.com/articles/1285
東京商工会議所『中小企業のためのダイバーシティー推進ガイドブック』https://www.tokyo-cci.or.jp/survey/diversity/file/diversity.pdf
日経ビジネスONLINE『日本のダイバーシティーは、間違いだらけ』http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20081024/175047/?rt=nocnt

 

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