情報セキュリティとは?3要素と対策をわかりやすく解説
パソコンやスマートフォン、クラウドサービスは、いまや企業規模を問わず欠かせない仕事道具です。その一方で、ランサムウェアによる業務停止や取引先を経由した情報漏えいなど、セキュリティ事故は年々深刻になっています。2025年には大手企業が相次いでサイバー攻撃を受け、受注や出荷が長期間止まる事態も起きました。
この記事では、「情報セキュリティとは何か」をわかりやすく解説したうえで、最新の脅威や被害の傾向、中小企業がすぐに実践できる対策までを、2026年時点の情報でまとめます。
情報セキュリティとは?
情報セキュリティとは、会社や個人が持つ情報を、漏えい・改ざん・消失などから守り、必要なときに安全に使える状態を保つことです。
日本産業規格(JIS Q 27000)では、「情報の機密性、完全性及び可用性を維持すること」と定義されています。顧客情報や取引先とのやり取り、社内の財務データなどが外部に漏れれば、損害賠償や信用の低下につながります。そのため、情報セキュリティはIT担当者だけの課題ではなく、経営課題のひとつと考えられています。
情報セキュリティとサイバーセキュリティの違い
よく似た言葉に「サイバーセキュリティ」があります。両者は対象範囲が異なります。
| 情報セキュリティ | サイバーセキュリティ | |
| 守る対象 | 情報そのもの(紙の書類や人の会話も含む) | コンピューターやネットワーク上の情報・システム |
| 主な脅威 | サイバー攻撃に加え、紛失・誤送信・盗み見・災害など | ウイルス、不正アクセス、ランサムウェアなどのサイバー攻撃 |
| 対策の例 | 書類の施錠保管、入退室管理、バックアップ、社員教育など | ウイルス対策ソフト、ファイアウォール、多要素認証など |
つまり、サイバーセキュリティは情報セキュリティの一部と考えるとわかりやすいでしょう。
情報セキュリティの身近な具体例
情報セキュリティ対策というと難しく聞こえますが、日常業務の中にも多くの具体例があります。
- パソコンにパスワードと画面ロックをかけ、離席時はロックする
- ログイン時にスマートフォンの認証アプリなどを使う「多要素認証」を設定する
- メールの宛先を送信前に確認し、添付ファイルにはパスワードやアクセス制限をかける
- OSやソフトウェアの更新通知が来たら、すぐにアップデートする
- 顧客名簿などの書類は鍵付きのキャビネットで保管し、不要になったらシュレッダーで処分する
- 重要なデータを定期的にバックアップし、ネットワークから切り離した場所にも保存する
情報セキュリティの3要素(機密性・完全性・可用性)
情報セキュリティの基本は、「機密性(Confidentiality)」「完全性(Integrity)」「可用性(Availability)」の3つの要素です。頭文字をとって「CIA」とも呼ばれます。この3つをバランスよく保つことが、企業の情報管理体制への信頼につながります。
| 要素 | 意味 | 損なわれた例 | 主な対策 |
| 機密性 | 許可された人だけが情報にアクセスできる | 顧客情報が外部に流出する | ID・パスワード管理、多要素認証、アクセス権限の設定 |
| 完全性 | 情報が正確で、改ざん・破壊されていない | Webサイトや請求書の振込先が書き換えられる | ソフトウェアの更新、ウイルス対策、変更履歴の管理 |
| 可用性 | 必要なときに情報やシステムを使える | ランサムウェアや停電でシステムが止まる | バックアップ、無停電電源装置、障害時の代替手段 |
機密性
機密性とは、アクセスを認められた人だけが情報を見たり使ったりできる状態のことです。ID・パスワードに加え、ICカードや指紋・顔認証、スマートフォンの認証アプリなどを組み合わせることで、機密性を高められます。
完全性
完全性とは、情報が破壊・改ざん・消去されておらず、正確な状態にあることです。ソフトウェアを最新の状態に保つこと、ウイルス対策ソフトを導入すること、誰がいつ情報を変更したかを記録することが有効です。
可用性
可用性とは、必要なときに中断なく情報やシステムを利用できる状態のことです。機器の故障や停電、災害、ランサムウェアによる暗号化に備え、定期的なバックアップや別拠点でのデータ保管、障害時の連絡手段を決めておくことが大切です。
あわせて押さえたい「情報セキュリティの7要素」
JIS Q 27000では、3要素に加えて次の4つの特性を含めることもあるとされています。3要素と合わせて「情報セキュリティの7要素」と呼ばれます。
| 要素 | 意味 | 対策の例 |
| 真正性 | 利用者や情報が、本物であると確認できる | 多要素認証、電子署名 |
| 責任追跡性 | 誰が・いつ・何をしたかを追跡できる | アクセスログ・操作ログの記録 |
| 否認防止 | 行った操作を後から否定できない | 電子署名、タイムスタンプ |
| 信頼性 | システムが意図したとおりに動作する | システムのテスト、不具合の修正 |
なぜ今、情報セキュリティ対策が必要なのか
DX(デジタルトランスフォーメーション)やリモートワーク、クラウドサービス、生成AIの活用が広がるほど、企業が守るべき情報の量と入口は増えていきます。ここでは、最新のデータから情報セキュリティ対策の必要性を見ていきます。
データで見るサイバー攻撃の現状
警察庁の「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、2025年の被害の状況は次のとおりです。
| 項目 | 2025年の状況 |
| ランサムウェアの被害報告件数 | 226件(依然として高水準) |
| 被害企業の規模 | 中小企業が約6割(143件) |
| 被害が多い業種 | 製造業が約4割。卸売・小売業、サービス業、情報通信業が続く |
| 主な侵入経路 | VPN機器が6割以上 |
| 復旧にかかった費用 | 総額1,000万円以上の組織が5割超 |
| 復旧期間 | 1か月未満で復旧できた組織は5割強にとどまる |
| フィッシング報告件数 | 245万4,297件 |
出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(2026年3月)
被害の約6割を中小企業が占めていることからもわかるように、「うちは小さい会社だから狙われない」という考えは通用しなくなっています。
中小企業が狙われやすい理由
中小企業は、大企業に比べてセキュリティ対策の予算や専任の担当者が限られがちです。攻撃者はその弱点を突き、取引のある大企業への「足がかり」として中小企業を狙うことがあります(サプライチェーン攻撃)。
取引先からセキュリティ対策の状況を確認されるケースも増えています。情報セキュリティ対策は、被害を防ぐだけでなく、取引先から信頼を得るためにも欠かせないものになっています。
情報セキュリティ10大脅威2026
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、毎年「情報セキュリティ10大脅威」を発表しています。2026年1月に発表された「組織」向けの脅威は次のとおりです。
| 順位 | 「組織」向けの脅威 | 前年順位 |
| 1位 | ランサム攻撃による被害 | 1位 |
| 2位 | サプライチェーンや委託先を狙った攻撃 | 2位 |
| 3位 | AIの利用をめぐるサイバーリスク | 初選出 |
| 4位 | システムの脆弱性を悪用した攻撃 | 3位 |
| 5位 | 機密情報を狙った標的型攻撃 | 5位 |
| 6位 | 地政学的リスクに起因するサイバー攻撃(情報戦を含む) | 7位 |
| 7位 | 内部不正による情報漏えい等 | 4位 |
| 8位 | リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃 | 6位 |
| 9位 | DDoS攻撃(分散型サービス妨害攻撃) | 8位 |
| 10位 | ビジネスメール詐欺 | 9位 |
出典:IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」
ここでは、特に中小企業が注意したい脅威を紹介します。
ランサム攻撃による被害(1位)
11年連続で選ばれている脅威です。データを暗号化して使えなくするだけでなく、盗んだ情報を公開すると脅して金銭を要求する「二重恐喝」が主流になっています。暗号化をせずに、データを盗んで公開をちらつかせる手口も確認されています。
サプライチェーンや委託先を狙った攻撃(2位)
取引先や業務委託先のうち、対策が手薄な組織を足がかりにして、本来の標的に侵入する手口です。自社がしっかり対策していても、委託先から被害が広がることがあるため、取引先とあわせた対策が求められます。
AIの利用をめぐるサイバーリスク(3位・初選出)
生成AIの普及に伴い、今回初めて選ばれました。社員が機密情報をAIに入力してしまう意図しない情報漏えい、AIの出力を十分に確認せずに使うことによるトラブル、AIを悪用したより巧妙な攻撃などが想定されています。AIを業務で使う際は、入力してよい情報のルールを社内で決めておきましょう。
内部不正による情報漏えい等(7位)
従業員や元従業員が、権限を悪用して情報を持ち出すケースです。アクセス権限を必要最小限にする、退職者のアカウントをすぐに停止する、操作ログを記録するといった対策が有効です。
リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃(8位)
VPN機器やリモートデスクトップなど、社外から社内につなぐ仕組みの脆弱性を狙う攻撃です。警察庁の統計でもランサムウェアの侵入経路はVPN機器が6割以上を占めており、機器の更新やパスワード管理が欠かせません。カフェや公共のフリーWi-Fiでの作業、画面の盗み見にも注意が必要です。
主なサイバー攻撃の種類
サイバー攻撃にはさまざまな手口があり、攻撃者は目的に応じて使い分けています。データを人質に金銭を要求するもの、取引先になりすましてお金をだまし取るもの、Webサイトを使えなくするものなど、狙いも被害の出方もさまざまです。
ここでは、企業が特に注意したい代表的なサイバー攻撃の種類と、それぞれの手口・対策をまとめました。どんな攻撃があるかを知っておくだけでも、不審なメールや異変に早く気づけるようになります。
| 攻撃の種類 | 手口 | 主な対策 |
| ランサムウェア | データを暗号化し、復旧と引き換えに身代金を要求。情報の公開をちらつかせる二重恐喝も多い | バックアップ、VPN機器などの更新、EDR等の導入 |
| 標的型攻撃 | 取引先や知人を装ったメールで、ウイルス付きの添付ファイルやURLを開かせる | 不審メールの見分け方の教育、ウイルス対策ソフト |
| フィッシング・ビジネスメール詐欺 | 実在の企業や取引先・経営者になりすまし、ID・パスワードを盗んだり、偽の口座に送金させたりする | 多要素認証、送金時の電話などでの確認ルール |
| DDoS攻撃 | 大量のコンピューターから一斉にアクセスし、Webサイトやサーバーを使えなくする | DDoS対策サービス、CDNの利用 |
| 不正アクセス | 脆弱性や盗んだパスワードを使ってシステムに侵入し、情報の窃取や改ざんを行う | ソフトウェアの更新、パスワード強化、アクセス制限 |
情報セキュリティ対策の基本
トラブルの種類ごとに、企業が押さえておきたい基本的な対策をまとめました。
| トラブル | 主な対策 |
| ウイルス感染 | ウイルス対策ソフトの導入、OS・ソフトウェアの更新、危険なWebサイトのフィルタリング |
| 不正侵入(システムへの侵入・破壊) | パスワード管理と多要素認証、ファイアウォール・侵入防止システムの導入、VPN機器などの更新、ログの取得と管理 |
| 情報漏えい | アクセス権限の管理、顧客データの管理、資料・機器の廃棄ルールの徹底、無線LANのセキュリティ設定、AI利用ルールの策定 |
| 災害・障害による停止 | 定期的なバックアップ(ネットワークから切り離した保管を含む)、無停電電源装置の設置、設備の安全管理、復旧手順の整備 |
情報セキュリティポリシーの策定とISMS
対策を一時的なもので終わらせないためには、会社としての方針やルールを「情報セキュリティポリシー」として文書化し、全従業員に周知・教育することが大切です。さらに、ルールが守られているかを定期的に点検し、見直していく必要があります。
こうした方針の策定から運用・改善までの仕組みを「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」といい、国際規格ISO/IEC 27001(国内規格はJIS Q 27001)に基づく認証制度もあります。
サーブコープのお客様でISMSを取得されている方が多数いらっしゃいます!
中小企業がまず取り組みたい「情報セキュリティ6か条」
IPAは2026年3月に「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」を第4.0版に改訂しました。従来の「5か条」に「バックアップを取ろう!」が加わり、「情報セキュリティ6か条」になっています。
| No. | 6か条 | ポイント |
| 1 | OSやソフトウェアは常に最新の状態にしよう! | 更新プログラムを放置せず、自動更新を有効にする |
| 2 | ウイルス対策ソフトを導入しよう! | 定義ファイルを常に最新にしておく |
| 3 | パスワードを強化しよう! | 長く、複雑に、使い回さない。多要素認証も活用 |
| 4 | 共有設定を見直そう! | クラウドやネットワーク機器の共有範囲を必要最小限に |
| 5 | バックアップを取ろう!(新規追加) | ランサムウェアに備え、ネットワークから切り離した場所にも保存 |
| 6 | 脅威や攻撃の手口を知ろう! | 最新の手口を社内で共有し、定期的に教育する |
出典:IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版」
社員一人ひとりが気を付けること(チェックリスト)
情報セキュリティ事故の多くは、ちょっとした不注意から起こります。日々の業務で次の点を確認しましょう。
| チェック項目 | |
| □ | 離席時はパソコンの画面をロックしている |
| □ | パスワードを使い回さず、多要素認証を設定している |
| □ | OSやソフトウェアの更新を後回しにしていない |
| □ | 心当たりのないメールの添付ファイルやURLを開かない |
| □ | メール送信前に宛先・添付ファイルを確認している |
| □ | 振込先の変更などの依頼は、電話など別の手段で確認している |
| □ | 機密情報や個人情報を生成AIに入力していない |
| □ | 公共のフリーWi-Fiで業務データを扱っていない |
| □ | カフェなど人目のある場所で画面をのぞかれないよう注意している |
| □ | USBメモリやノートパソコンを持ち出す際のルールを守っている |
情報セキュリティ事故の事例から学ぶ
情報セキュリティ事故というと、高度なサイバー攻撃を思い浮かべるかもしれません。しかし実際には、設定ミスや推測しやすいパスワード、不審なメールをうっかり開いてしまったことなど、ちょっとした油断がきっかけになるケースが少なくありません。
ここでは、過去に実際に起きた情報セキュリティ事故を3つ紹介します。古い事例もありますが、原因の多くは今も変わらず起こりうるものです。自社に同じような穴がないか、確認しながら読んでみてください。
事例(1)設定ミスで資料請求者の個人情報が流出
大手エステティックサロンのWebサイトで、資料請求をした3万件以上の個人情報が閲覧できる状態になっていました。原因はWebサーバーの初歩的な設定ミスでした。
教訓:サイバー攻撃だけでなく、設定ミスや確認不足も大きな事故につながります。
事例(2)安易なFTPパスワードでWebサイトが改ざん
2000年には官公庁のWebサイトが相次いで改ざんされました。多くは推測しやすいFTPのパスワードや、既知の脆弱性の放置が原因でした。
教訓:パスワードの強化とソフトウェアの更新という基本対策が、今も最も重要です。
事例(3)知人を装ったメールから機密情報が流出
知人を装ったウイルス付きメールを職員が開封し、感染したパソコンから機密情報が外部に送信されました。
教訓:「知っている人からのメール」でも油断せず、不審な点があれば開く前に確認しましょう。
オフィス選びも情報セキュリティ対策のひとつ
サーブコープでは、国内32拠点・全世界150拠点以上でワークスペースを展開しています。ITは、自社のITチームが担当しています。ネットワークは24時間365日監視しているうえ、トラブルの際は社内の電話からITサポートに直接つながるので、すぐに相談できます。
お客さまごとに専用のSSIDを提供
サーブコープでは、共用のWi-Fiではなく、お客さまごとに専用のSSIDと個別の暗号化キーを提供しています。他の入居企業とネットワークが混在しないため、安心して業務に集中できます。ITトラブルが起きた際も、常駐スタッフがすぐに対応します。
レンタルオフィスを選ぶ際は、入居時のネットワーク環境だけでなく、セキュリティ対策やトラブル時のサポート体制も事前に確認しておきましょう。
よくある質問
Q. 情報セキュリティとは、簡単にいうと何ですか?
会社や個人の大切な情報を、漏えい・改ざん・消失から守り、必要なときに安全に使えるようにすることです。「機密性・完全性・可用性」の3つを保つことが基本です。
Q. 中小企業は何から始めればよいですか?
まずはIPAの「情報セキュリティ6か条」に取り組むのがおすすめです。OSの更新、ウイルス対策ソフト、パスワード強化、共有設定の見直し、バックアップ、手口を知ることの6つは、費用をかけずに始められるものが中心です。
Q. 情報セキュリティ対策にかかる費用はどれくらいですか?
ウイルス対策ソフトやバックアップなど、基本的な対策は比較的少ない費用で始められます。一方、ランサムウェアの被害に遭うと、復旧に1,000万円以上かかった組織が5割を超えています。被害の大きさを考えると、事前の対策は十分に投資する価値があります。
Q. 生成AIを業務で使うときに気を付けることは?
顧客情報や社外秘の情報を入力しないこと、AIの回答をそのまま使わず内容を確認することが基本です。利用してよいサービスや入力してよい情報を社内ルールとして決めておきましょう。
まとめ
情報セキュリティとは、情報の「機密性・完全性・可用性」を守り、安全に使える状態を保つことです。ランサムウェアやサプライチェーン攻撃、AIをめぐるリスクなど脅威は年々変化しており、被害の約6割を中小企業が占めています。まずは「情報セキュリティ6か条」と社員向けチェックリストから始め、少しずつ対策を広げていきましょう。
ただ、ネットワークの管理やITトラブルへの対応まで自社だけで担うのは大変です。サーブコープのレンタルオフィスでは、お客さまごとに専用のSSIDと個別の暗号化キーを用意しているため、他の入居企業とネットワークが混ざることはありません。ITの専門スタッフが常駐しているので、トラブルの際もすぐに対応できます。
セキュリティ面も安心できるオフィスで本業に集中したい方は、ぜひ一度サーブコープにご相談ください。



