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【イベントレポート】フリーランスが知っておくべき法律「独禁法」「労働法」とは?法整備の最新情報を聞いてきました!

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今年4月に発表された「フリーランス実態調査2018」(ランサーズ株式会社調べ)によると、直近一年のフリーランス人口は1119万人で、労働力人口の17%にあたることがわかりました。多様な働き方を推進してきた政府も人材不足解消の突破口と捉え、フリーランスを守る法整備を進めています。

雇用契約を結ばないフリーランスは会社員と異なり、会社に守ってもらうことができません。そのため支払いが滞ったり、一方的に減額されたり、あるいは他社との取引を制限されるなど、クライアントから理不尽な要求を受けることがあります。そうしたときにフリーランスを守るのが、「独禁法」や「労働法」です。

今回は、2018年5月22日に一般法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会により開催されたイベント、「フリーランスを法律で保護って本当ですか?」の中で紹介された、フリーランスを保護する法律をご紹介します。

フリーランスが独禁法により守られる理由

独占禁止法
正式名称 「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」
目的 公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすること。
市場メカニズムが正しく機能していれば、事業者は自らの創意工夫によってより安くて優れた商品を提供して売上高を伸ばそうとし、消費者はニーズに合った商品を選択することができる。事業者間の競争により、消費者の利益が確保されることにつながる。
出典:公正取引委員会ホームページ

公正な競争を確保するための独禁法は一見、フリーランスとは無関係のように思えますが、実は大いに関係があります。1947年に独禁法が制定された当時は、フリーランスを保護の対象とする考えは取られていなかったのですが、公正取引委員会が2018年2月15日に公表した「人材と競争政策に関する検討会」報告書において、初めてフリーランスなどの労働保護についても独禁法が適用される方向性が明らかになったのです。

この検討会においては、フリーのライターなど約550人にアンケートを実施しており、その結果、企業側から契約書面が交付されないケースが約34%にものぼったほか、「フルタイムで働かなければ契約を切ると言われた」「何度も作業の修正を繰り返させられた」といった回答が問題視され、不利な条件の押し付けや人材の囲い込みを是正する必要があるとされました。

今回のイベント「フリーランスを法律で保護って本当ですか?」では、公正取引委員会の山本大輔経済調査室長がフリーランス保護の観点に立って、独禁法においてポイントとなる「優越的地位の濫用」について解説。クライアントが優越的な地位をふりかざし、自分たちに有利な取引を強制する行為が法律違反に抵触する可能性があるとして、具体的なケースを紹介しながら説明しました。

違反が問われやすい事例として山本氏が挙げたのが、支払いの遅延、報酬の減額、成果物の受領拒否などですが、クライアント側が強気な姿勢に出やすい背景には、「フリーランスは企業に比べ情報収集力や交渉力が低い」「ネガティブな評判をクライアント同士で共有されるリスク」「特定のクライアントに依存しがち」といったフリーランスが置かれている立場の弱さがあります。このため、今後、さらなる人口増加が見込まれているフリーランスの背中を後押しするため、政府が法整備への積極的な検討に乗り出したのです。

山本氏がイベント中に使用した「優越的地位の考え方」を解説する資料の一部

独禁法違反の場合は、民事裁判で争うことができる

一方的な支払い遅延や報酬の減額など、優越的地位の濫用に該当しうる問題を避けるには、あらかじめフリーランスとクライアントが双方に納得できる公正な条件で契約を交わすことが有効です。しかし、もし不利な条件で契約を結んでいた場合はどうなるのでしょうか? 山本氏は、そうしたケースであっても、優越的地位の濫用であると認められれば、契約内容そのものが独禁法違反となることから、従う義務はないと指摘します。

クライアントから独禁法違反が疑われる行為を受けた場合の対応について、山本氏は2つの対処法を説明しました。

ひとつは、公正取引委員会への「調査請求」です。公正取引委員会では、独禁法違反の疑いがある企業などに対して審査を行い、違反が認められた場合には違反行為を止めさせる「排除措置命令」を下すことができます。

ただし、調査請求については、公正取引委員会においてすべての案件に対応することが難しく、解決までの時間がかかってしまいます。

そこで、ふたつ目の方法として「まずは民事裁判で損害賠償請求を行うことが現実的」と山本氏は話します。

民事裁判において、損害賠償請求の対象となるのは相手方の“不法行為”により損害を受けたケースであることから、独禁法違反を理由とした損害賠償請求を行うことができます。裁判で訴えが認められれば、クライアントから受けた損害の賠償を受けるとともに、将来の違反行為を抑止する効果も期待できるでしょう。

しかし、公正取引委員会への調査請求も民事裁判で賠償請求を行うのも、フリーランス個人にとってはハードルが高く、思うようには踏み出せないかもしれません。そんなときは、弁護士など法律の専門家に相談するのが有効でしょう。一般法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会では、会員向けに福利厚生サービス「ベネフィットプラン」を提供しており、その中に法律事務所への初回相談無料サービスなどがありますので、こうしたサービスを利用するのも手です。

「雇用類似の働き方に関する検討会(概要)」(厚生労働省)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11909500-Koyoukankyoukintoukyoku-Soumuka/0000201128.pdf)を加工して作成

会社員でなくとも、労働法により保護される?

「労働法」におけるフリーランスに関わるポイントを解説したのは、厚生労働省の雇用環境・均等局在宅労働課の永倉真紀氏です。永倉氏は、厚労省により平成29年10月から4回にわたり開催された「雇用類似の働き方に関する検討会」(以下「検討会」)を踏まえ、今後のフリーランスの保護について、政府でどのような議論がなされているのかを説明しました。

まず前提として、労働法は、「労働基準法」や「労働組合法」など、労働者と会社の利害を調整し、不利な条件で労働者が働かされることのないよう保護するものであり、フリーランスなどの事業主は、基本的にその保護の対象とはなっていません。

しかし、永倉氏は、労働法には「雇用類似の者」という概念があり、たとえ実際に雇用関係になくとも、“外形的に”労働者として認められる場合、労働法の保護の対象となる可能性がある旨を説明しました。

たとえば、同じようにオフィスで1日中仕事をしているにもかかわらず、正社員とフリーランスで著しく待遇の差がつくようなケースは、労働法上の問題になるでしょう。ただし、現状の労働法では、労働法の保護の対象となるかは、「仕事を拒否できるか」「指揮監督があるか」「時間や場所の拘束はあるか」といった複数の要素を踏まえて総合判断されるため、フリーランスが会社員と同程度の保護を必ず受けられるとは限りません。

永倉氏は、検討会におけるフリーランスの実態調査からフリーランスの働き方の多様さが明らかとなったことに触れつつ、「一律でルールを定めることで、かえって働きにくくなる可能性もある」と指摘しました。たとえば、「最低報酬を設ける」というルールが法整備されれば、そのことによって収入を増やせる人もいるでしょうが、逆に仕事の依頼がまったく来なくなってしまう人も出てくるかもしれません。

一方で、子育て支援や介護支援など、働き方によらず必要となる支援もあります。こうした状況を踏まえ、現在は政府において課題の把握や法整備の検討を進めていると話しました。

「独禁法」「労働法」といった法律によるフリーランスの保護は、現状は議論が続いている段階で、どの程度の保護を受けられるかは今後の法整備にかかっています。政府の取り組みに注目し、フリーランスの現状や要望を発信していくことで、フリーランスの労働条件の改善につながると考えます。

 

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