お中元のお礼状・メールのマナーと例文、注意点をビジネス向けに解説
取引先や顧客からお中元をいただいた際はビジネスマナーとして、できるだけ早く感謝の気持ちを伝えるなど、適切な対応をとることが大切です。特に重要なお礼状について、送るタイミングや形式、取引先に応じた時期別の例文、また、これ以降お中元をお断りするときの対応の仕方までくわしく解説します。
お中元のお礼状とは?
ビジネス上の関係のお相手、例えば取引先や顧客、また部下からお中元が届いた際の対応として最も重要なことがお礼状の送付です。
いただいたお中元に対してお礼状を送付する意味は以下の2点です。
- お中元が手元に届いたことをお知らせする
- 感謝の気持ちを伝える
ビジネス上のマナーとしても、お互いの信頼感を高めるためにも、お中元を贈っていただいたことへ最低限の返礼が「お礼状の送付」であると考えてください。
お中元が届いたらまずは電話やメールで連絡
昔は自ら持参してお届けすることもあったお中元ですが、現在のお中元は百貨店などから配送業者を通じて送付されることがほとんどです。
よりマナーを重視したい、感謝の気持ちを伝えたい場合、お礼状の送付の前にまず電話やメールでお礼を伝えるのがよいでしょう。
電話の場合「今回はお心遣いをいただきまして、ありがとうございました。」という言葉を伝えることでお中元が届いたこと、感謝の気持ちを伝えることができます。また、いただいた品物について好物であるなど、喜びを伝えることも大切です。
メールでお礼をする場合「この度は丁寧なお中元の品をいただき、ありがとうございました。」という言葉の後、その品物についてひと言触れ、「取り急ぎ拝受の御礼を申し上げます。」と続けましょう。(メールでの文例は後述します。)
お中元のお返しは基本的に不要
基本的にお中元は感謝の気持ちを伝えたい側からの行為ですから、必ずしも品物でお返しする必要はありません。
もちろん、同じように感謝の気持ちを伝えたいと返礼の品をお送りすることはマナー違反ではありません。返礼の品を送付できる時期によって、「御中元」「暑中御見舞」「残暑御見舞」または「御礼」ののし(熨斗)をかけて贈ります。
その場合、いただいたものより高額なもの、また同じ種類の品物を贈ることは避けましょう。例えば、いただいたお中元が「5000円相当のコーヒー」であれば「3000円相当のお菓子」などが妥当です。
翌年以降、同じ立場で感謝の気持ちを伝えあいたいという場合は、金額を同等程度に合わせることは問題ありません。
お中元のお礼状を送る時期・タイミング
お中元がいつ贈られてくるかは、地域によって異なります。首都圏や東北では7月に入ってから7月中旬まで、北海道と東海より西は8月15日まで、九州では8月に入ってから8月15日までが一般的です。
一方、お礼状として「何月何日までに送る」という決まりはありません。
どの地域でも「お中元をいただいたらすぐにお礼状の手配をする」のが基本です。お中元を受け取ってから3日以内には手配しましょう。
お中元のお礼状を送る方法は?
お礼状の形式は相手との関係性によって適切な「格」を選びましょう。
大切な顧客や指導をいただいた講師などへのお礼状であれば、最もフォーマルな形式は「封書・縦書き・手書き」です。封筒と便せんの色は白が基本です。筆記用具は筆や万年筆だと印象よくなります。
対等な関係性の取引先や、目上の場合でも親しい間柄、同僚などであれば、白に限らず送っていただいた方の年齢や趣味嗜好に合わせた色柄の封筒・便せんを使用するのもよいでしょう。なお、便せんは横書きのものでも構いません。
また、部下など明確に上下関係のある間柄へのお礼状であれば、はがきを使っても構いません。はがきはお中元のお礼状としての文言がすでに印刷されたタイプも市販されています。
お中元のお礼状の書き方と内容
お礼状をお送りする相手の格に合わせて、書く内容も変える必要があります。封書で送付するお礼状に記載すべき内容について確認しましょう。
頭語
冒頭の「挨拶」に当たる言葉で、お相手に合わせた決まった言葉があります。
- 目上の方への丁寧なお礼状……謹啓
- 対等な関係・親しい関係……拝啓
その他にも拝呈、啓上、謹呈、前略、冠省といった頭語もありますが、上記の2つがそれぞれの格に対応する一般的な頭語です。頭語の後は一文字程度空けます。
時候の挨拶と相手を気遣う言葉
頭語よりも1文字分下げた位置から書き始めます。
時候の挨拶とは、季節に応じてふさわしい季語を含めた書状で用いる挨拶のことです。多くのビジネス文書がこの形式に則ってはじまります。
目上の方への丁寧なお礼状……漢語調:例「小暑の候」
対等な関係・親しい関係……口語調:例「本格的な夏を前に」
この季節の挨拶の後に、お相手の健康を気遣ったり好調であることを慶んだりする言葉を続けます。
拝受のご連絡と御礼の言葉
挨拶が終わったら本題に入ります。文章の冒頭には形式に沿った表現を選びながら記載しますが、この本題についてはいただいた品物についての言葉や気遣いへの感謝の気持ちをオリジナリティのある言葉で具体的に書くと、心のこもったお礼状になります。
今後の厚情や指導と相手の発展や繁栄を願う言葉
お礼の言葉の後は、もう一度相手の健康や会社の繁栄を祈念する言葉を書きます。
結びの挨拶
最後にもう一度あらためてお礼を述べ、文章をしめます。
結語
結語は頭語に対応する言葉を選びます。
頭語に目上の方に使う「謹啓」を選んだ場合…謹白
対等な関係・親しい関係に使う「拝啓」を選んだ場合……敬具
位置は結びの言葉と同じ行の最下部です。
日時
横書きのビジネス文書でははじめに書く日時ですが、お礼状ではこの位置に記載します。結びの言葉の書き出しよりも2文字程度下げて書きます。
自社の社名と担当者名
自社の社名と担当者名を記載します。日時のあと改行し、位置は最下部です。
相手の社名と担当者名
最後にお相手の社名と担当者名を記載します。会社名と担当者名は改行し、位置は最上部です。また、自社の社名や担当者名よりも一回り大きく書くことで敬意を表します。
お礼状の前に送るメールの例文
お礼状を送る前に電話がつながらなかった、すぐに電話ができないなどの事情で直接お礼の言葉を伝えられなかった場合、メールで取り急ぎのご挨拶をすることはマナー違反ではありません。
この場合、ビジネスメールの形式に従って文章を作成します。書状で用意するような頭語・結語や漢語調の時候の挨拶を使う必要はありません。
ビジネス上のお相手にメールでお中元のお礼を伝える際の文例を紹介します。
【件名】
お中元の御礼
【本文】
株式会社○○
○○○○さま
いつも大変お世話になっております。
このたびはご丁寧なお中元の品をお贈りいただき、誠にありがとうございました。
○○様の温かいお心遣いに、心より感謝申し上げます。
スタッフ一同で楽しみに頂戴いたします。
本来であれば直接お目にかかり御礼申し上げるべきところではございますが、
まずは略儀ながら書中(メール)にて御礼申し上げます。
これからますます暑さが厳しくなってまいりますが、
どうぞご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
(署名)
お礼状の例文
これまで解説した内容を踏まえて、お相手に合わせたお礼状の例文を紹介します。
取引先宛(企業)
謹啓
盛夏の候、貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、このたびはご丁寧なお中元の品をお贈りいただき、誠にありがとうございました。
貴社の温かいお心遣いに、心より感謝申し上げますとともに、平素より賜っておりますご厚情にも、重ねて御礼申し上げます。
これから一層日差しも強まり、暑さの厳しい季節となりますが、どうかご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
謹白
令和〇年〇月〇日
〇〇株式会社
(役職) 〇〇〇〇
〇〇株式会社
(役職) 〇〇〇〇 様
取引先宛(個人)
拝啓
毎日焼けるような暑さが続いておりますが、○○様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
この度はご丁寧なお中元の品をお贈りいただき、誠にありがとうございました。
さっそくスタッフ一同でありがたく頂戴いたしました。
お心のこもったお品により、夏の暑さもひととき和らぐ思いがいたしました。
日頃よりの細やかなお心遣いに、重ねて御礼申し上げます。
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
〇〇株式会社
(役職) 〇〇〇〇
〇〇株式会社
(役職) 〇〇〇〇 様
部下宛
部下宛の例文は女性の家族が代筆した内容です。結語は女性の差出人が用いる「かしこ」を、差出人の下に1文字分空けて「内」と記載します。
前略 失礼いたします。いつもお元気でご活躍とのこと、何よりと存じます。
心づくしのお中元の品をお送りいただき、誠にありがとうございました。子どもたちも大喜びで、家族そろって美味しくいただきました。
毎日暑さが続きますので、ご自愛の上お過ごしください。
かしこ
令和〇年〇月
〇〇〇〇 内
〇〇株式会社
(役職) 〇〇〇〇 様
お礼状を送るのが遅れた時のお詫び文
諸事情でお礼状を送るのが遅れてしまった場合、お詫びの言葉も重ねて記載するのがよいでしょう。お中元をいただいてから1週間以上お礼状の送付が遅れてしまった場合が遅れる目安です。
拝啓
酷暑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
また、このたびはご丁寧なお中元の品をお贈りいただき、心より御礼申し上げます。
本来であれば早速ご挨拶申し上げるべきところ、御礼が遅くなりましたこと、深くお詫び申し上げます。
厳しい暑さが続く折、貴社の皆様のご健勝とご自愛を心よりお祈り申し上げます。
敬具
(以下略)
お礼状に含める月別の季語と例文
お中元へのお礼状にふさわしい月別の季語とそれを含めた冒頭の例文を紹介します。
6月のお礼状の季語と例文
近年お中元の配送が早まり、地域によっては6月下旬ごろから手配されるケースも増えてきました。6月下旬頃に使える季語ですが、口語調の場合、天気の状況によって選びましょう。
- 夏至の候
- 向夏の候
- 梅雨明けが待ち遠しい日々ですが
- まもなく梅雨が明けるこの時期
- 日に日に夏めいてまいりました
7月のお礼状の季語と例文
全国的に最もお中元の送付が多い時期です。お礼状が相手の手元に届くタイミングに合わせて選びますが、長く使える一般的な季語を使うのもよいでしょう。
- 盛夏の候
- 猛暑の候
- 梅雨が明け、毎日眩しい日差しの降り注ぐ今日この頃
- 蝉の声に夏到来を感じる日々ですが
- 夏本番を迎え、毎日暑さを感じるようになりました
8月のお礼状の季語と例文
旧暦でお中元を手配する沖縄などでは、年によって8月から9月にかけてお中元を贈ることもあります。8月7日の立秋過ぎのタイミング以降は秋を意識した季語を使いましょう。
- 晩夏の候(8月6日頃まで)
- 残暑の候(8月7日頃~8月23日頃)
- 処暑の候(8月下旬~9月上旬)
- まだまだ残暑厳しい折、
- 暦の上で秋ではございますが、暑さが残る折
- 朝夕はようやく秋の風を感じられるようになりました
お礼状を代筆してもらう時の注意点
お礼状は本来、本人が自分の手で書くことで感謝の気持ちを伝えるものですが、代筆ということを相手にさりげなく伝える形でお礼状を用意することも可能です。その場合の注意点と書き方について紹介します。
会社の部下が代筆する場合
本人の役職と氏名の次に、一行開けて「代」と記載し、その下に代筆した部下の氏名を書きます。本人が長期出張や病気などの理由があってすぐにお礼状を書けないことを伝えたい場合などは代筆であることを伝えますが、特に事情がなく単純に作業を代行するだけであればあえて代筆であることを伝える必要はありません。
家族が代筆する場合
本人の氏名の下に、一文字分空けて「内」と記載します。この場合、家族の名前を書く必要はありません。家族ぐるみでお付き合いがある場合は、連名で記載するのもよい書き方です。
お中元をお断りする場合のマナー
近年では「虚礼廃止」としてお中元のやり取りを廃止する会社も増えています。お中元を断る場合は失礼のないようにお礼を伝えた上で「今後はお気遣いなされませんようお願い申し上げます」と丁重に断る文面を添えます。
なお、いただいたお中元をどのようにするかは会社の方針によるため、担当者の個人名で取引先からお中元をいただいた場合は、対応について上司に確認するのがよいでしょう。
お中元をお断りする時の例文
謹啓
猛暑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、このたびはご丁寧なお中元の品をお贈りいただき、誠にありがとうございました。
貴社の温かなお心遣いに、心より御礼申し上げます。
誠に恐縮ではございますが、弊社では平素よりお中元・お歳暮等のご進物は一律ご辞退させていただいております。
ご厚志はありがたく存じておりますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
今後とも変わらぬご厚誼を賜れますよう、引き続き誠心誠意努めてまいる所存でございます。
末筆ながら、貴社のますますのご発展と皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
謹白
(以下略)
お礼状と併せてお返しを贈る場合のマナー
いただいたお中元に対してのお返しは基本的に不要ですが、返礼品をお贈りすることはマナー違反ではありません。お返しをお贈りする場合の対応について解説します。
お中元のお返しの予算
これからのお付き合いとして「贈り合う」という意味合いでお返しをお贈りするのなら、同等程度の品物を選ぶのがよいでしょう。いただいたお中元よりも高額なものを贈るのは失礼に当たります。なお、一般的なお中元の金額の目安は3000円~5000円程度です。
お返しのお返し時期
お中元のお返しをする場合も、まずお礼状を先に送るのが一般的です。お礼状を送付してから、1週間~3週間程度の日にちをあけるのがよいとされています。
お返しの選び方
同等のお返しをする場合でも、同じ品物や似たような品物は避けます。また、分けやすいお菓子や飲み物など、相手に気を遣わせないものを選びましょう。
お返しにつけるのし紙
これからこちらからもお中元をお贈りするのなら、表書きは「御中元」、あくまでもお返しであれば「御礼」、また時期に合わせて「暑中御見舞」などでもよいでしょう。この場合、時期に合わせて選びます。
のし紙は一般的に紅白蝶結びを使います。贈り物の価格帯によっては、略式の短冊のしが使われることもありますが、郵送か持参かに合わせて購入するお店で相談するのがおすすめです。
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ビジネスが発展していく過程で、お中元をいただくだけでなく、お贈りすること、お付き合いの範囲が広がっていくことが増えていきます。お礼状を送るだけでなく、
- お世話になった取引先にお中元やギフトを贈りたい
- お中元が届いたのでお礼の品物を選んでほしい
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(まとめ)お礼状は失礼のないよう形式の通りに作成しましょう
お中元はビジネス上の関係性をよりよいものにしたいというお相手の心遣いです。お礼状の送付はその心遣いに応えたいという気持ちを伝える大切な手段ですから、失礼のないように形式を確認しましょう。
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