合同会社とは?Apple・Amazonも選ぶ会社形態|株式会社との違い・メリットを3分で解説

会社を設立する際の形態には「株式会社」のほかに「合同会社(ごうどうがいしゃ/LLC)」があります。株式会社との違いは何でしょうか。じつはApple(アップルジャパン)やAmazon(アマゾンジャパン)など、名だたる有名企業も合同会社を選んでいます。本記事では、合同会社の基本から株式会社との違い、メリット・デメリット、向いている人までを弁護士監修でわかりやすく解説します。
3行でわかる合同会社
- 合同会社とは:2006年の会社法改正でできた会社形態。読み方は「ごうどうがいしゃ」(英語ではLLC)。
- 株式会社との一番の違い:出資者=経営者で、決算公告や定款認証が不要。設立費用が安く(最小6万円〜)意思決定が速い。
- 向いている人:初期費用を抑え、自由でスピード感のある経営をしたいスモールビジネスの起業。
合同会社とは?基本と特徴
合同会社は2006年の会社法改正により新たに設立できるようになった会社形態です。特徴は大きく次の2つに集約できます。
- 経営者と出資者が同一であること
- 出資者全員が有限責任社員であること(出資した分だけ責任を負い、会社が倒産しても出資額以上の弁済義務はない)
株式会社との大きな違いは「所有」と「経営」のあり方です。出資者(株主)と経営者が異なる株式会社に対し、持分会社である合同会社は出資者と経営者が同じ。株主総会の開催や決算公告、株主間の利害調整が必要な株式会社と違い、合同会社は意思決定や利益配分を出資比率によらず自由に決められます。
合同会社と株式会社の違い

合同会社と株式会社の主な違いを表にまとめました。最大の違いは「所有と経営が同じかどうか」と「設立コスト・手続きの手軽さ」です。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
| 所有と経営 | 原則、分離(株主と経営者が別) | 原則、同一(出資者=経営者) |
| 出資者の名称 | 株主 | 社員 |
| 出資者の責任 | 間接有限責任 | 間接有限責任 |
| 役員の任期 | 取締役は原則最長2年 | 原則、任期なし |
| 代表者の肩書 | 代表取締役 | 代表社員 |
| 決算公告 | 必要 | 不要 |
| 意思決定 | 株主総会 | 社員総会 |
| 定款認証 | 必要(公証役場) | 不要 |
| 設立費用(最小) | 約15万円〜 | 約6万円〜 |
※設立費用は登録免許税などの最小額の目安です(資本金額により変動)。
株式会社は「出資者(株主)と経営者を分け、株式で広く資金を集めて大きく成長させる」ための形態。一方、合同会社は「出資者自身が経営し、少ないコストと手続きで、自由・スピーディーに運営する」ための形態です。責任の重さ(有限責任)はどちらも同じですが、設立費用・公告義務・意思決定のしやすさで差があります。
合同会社と株式会社、どちらを選ぶ
べき?
- 合同会社が向く:設立コストを抑えたい/少人数・スモールスタート/上場は目指さない/自由でスピード感のある経営をしたい。
- 株式会社が向く:将来的に上場や大型の資金調達を目指す/対外的な信用・知名度を重視する/株式で出資者を広く募りたい。
合同会社を選択している有名企業

次のような名だたる大企業も、株式会社ではなく合同会社という形態を選んでいます。
- アップルジャパン合同会社
- アマゾンジャパン合同会社
- 合同会社西友
- シスコシステムズ合同会社
- ユニバーサルミュージック合同会社
- P&Gプレステージ合同会社
特に海外の大手企業が日本現地法人を設立する際に、合同会社を選ぶ傾向があります。より自由で迅速な意思決定を重視していることの表れといえるでしょう。
【監修コメント】
計算書類の公告義務はなく、大規模会社であっても会計監査人の設置や内部統制システム整備義務などもありません。更に、法人も業務執行社員・代表社員になることができるという特徴もあります。そのため、このような有名企業にとっては手続きの煩雑さを回避できるというメリットがあります。もっとも、本記事では有名企業の例が挙げられていますが、設立・運営コストが低いことから、ミニマムスタートで手堅く事業を展開されたい場合に採用される中小企業様も多いです。(弁護士・森川そのか)
合同会社のメリット・デメリット
まずは早見表で全体像を確認しましょう。詳細は以下で解説します。
| メリット | デメリット |
| 設立費用が安い(最小6万円〜) | 知名度・信用度がやや低い |
| 定款認証が不要で設立が早い | 上場・株式での資金調達ができない |
| 利益配分を出資比率によらず自由に決められる | 社員(出資者)が対立するとリスクが大きい |
| 役員の任期がなく、決算公告も不要 | 登記に詳しい専門家を見つけにくい場合がある |
| 法人の節税メリットを受けられる | M&A時に株式会社化を求められることがある |
合同会社のメリット
- 会社設立費用が抑えられる:設立には「定款認証」と「設立登記」の費用がかかりますが、合同会社は定款認証が不要。設立費用を最小6万円に抑えられます。
- 経営の自由度が高い:利益配分を出資比率に関係なく社員間で自由に決められます。株主総会もないため意思決定が速く、事業経営のフットワークが軽いのが特徴です。
- 法人の節税メリットを受けられる:合同会社は法人のため、個人事業主よりも経費として認められる範囲が広く、株式会社と同じように節税できます。
このほか、役員の任期がない・決算公告が不要などのメリットもあります。
合同会社のデメリット
- 信用度・認知度が低い:国内では株式会社ほど一般的でないため、信用度がやや劣ると受け取られる場合があります。
- 資金調達の方法が限定・上場できない:株式を発行しての資金調達ができず、上場もできません。短期間で事業を拡大し上場を目指す場合は不向きです。
【監修コメント】
M&A(売却側)を検討する際に、買い手側から株式会社化を求められるケースもあります。その場合、債権者の異議手続(会社法第781条2項・779条)、組織変更の登記(会社法第920条)などの手続きが必要となり、1ヶ月以上の時間がかかります。そのため、株式会社がM&Aを行う場合よりも少し余裕を持ったスケジューリングが必要となってきます。(弁護士・森川そのか)
- 社員(出資者)が対立したときにリスクが大きい:出資者と経営者が同一で利益配分も自由なため、社員同士のトラブルが業務に大きく影響する可能性があります。
【監修コメント】
他にも、社員の一人が退社又は亡くなった場合などには社員変更の登記申請が必要なのはもちろんのこと、相続・承継をしない場合においては退社に伴う持分の払戻しについても登記申請が必要になります。また、その際には減資の手続き(公告等)が必要となる場合があります。また、そもそも合同会社の絶対数が少ないことから、合同会社の登記実務に精通した専門家を見つけるのが困難というデメリットもございます。(弁護士・森川そのか)
会社法改正以降、合同会社の設立件数は右肩上がりで増えています。初年度2006年(平成18年)の3,392件から、2012年(平成24年)には1万件を突破、2017年(平成29年)には27,270件に達しました。その後も増加傾向が続いており、いまや新規設立法人の一定割合を合同会社が占めるまでになっています。設立件数の伸びは、設立コストの低さや意思決定の自由度といった合同会社のメリットが評価されている表れといえるでしょう。
参照:法務省 登記統計 統計表 / e-Stat 登記統計(合同会社の登記の件数)
合同会社はどんな事業者に向いている?

合同会社の強みは「経営の自由度」「意思決定のスピード感」「設立費用の安さ」の3点です。これを踏まえると、初期投資を抑えながら、自由度が高くスピード感のある経営を行うスモールビジネスの起業に向いているといえます。
設立コストをかけたくない、出資比率に関係なくフラットでスピード感を持って会社を立ち上げたい、そんな場合は、合同会社のメリットを十分に活用できるでしょう。
よくある質問
合同会社の読み方は?
「ごうどうがいしゃ」と読みます。英語では LLC(Limited Liability Company)に相当し、登記上の英語表記は「Godo Kaisha(G.K.)」が用いられます。
合同会社は上場できますか?
できません。合同会社は株式を発行しないため、株式市場への上場や株式による資金調達はできません。将来的に上場を目指す場合は株式会社が適しています(合同会社から株式会社へ組織変更することも可能です)。
合同会社は「やばい」「怪しい」と言われるのはなぜですか?
株式会社に比べて歴史が浅く数も少ないため、知名度・信用度の面で誤解されることがあるのが理由です。実際にはApple・Amazonなどの大企業も採用する正式な会社形態で、法的な信頼性に問題はありません。
合同会社に株主はいますか?
いません。合同会社の出資者は「社員」と呼ばれ、原則として出資者自身が経営を行います。株式を発行しないため「株主」という概念はありません。
合同会社の設立費用はいくらですか?
定款認証が不要なため、株式会社(最小約15万円〜)より安く、最小約6万円〜で設立できます(登録免許税は資本金額×1000分の7、6万円未満のときは6万円)。
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参照:
e-Gov|法令検索
国税庁HP|No.7191 登録免許税の税額表
■監修者:森川そのか(弁護士・弁護士法人GVA法律事務所)



