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【起業家たちのマイルール】「スキルではなく自分の存在価値を提供する」。地方を創生するコース探索アプリを発表

起業家たちを訪問取材するインタビュー企画。収入の変化、将来への不安、家族の理解…独立を決断する際、尽きない悩みをどう乗り越えたのか。それぞれの起業ヒストリーとビジネスを成功させるうえで大切にしている“マイルール”をうかがいます。

(中央)リバースプロジェクトネクスト代表取締役社長・金田隼人氏、(右)リバースプロジェクト代表・伊勢谷友介氏、(一番右)リバースプロジェクト共同代表・龜石太夏匡氏

Vol.2 「リバースプロジェクトネクスト」代表
金田隼人氏
1990年生まれ。2012年、新卒で教育会社へ入社、後に取締役副社長に就任。2016年、同社退任。その後、事業開発プロデュース会社を設立。大手から中堅、スタートアップまでさまざまな企業の新規事業に参画。事業活動の中で、俳優の伊勢谷友介氏率いる株式会社リバースプロジェクトにプロデューサーとしてジョイン。NIPPON Platform株式会社との出会いを創出し、合弁会社「リバースプロジェクトネクスト」設立。代表取締役社長に就任。2019年3月、コース探索アプリ「grully」を発表。

人の想いと地域を活性化させる「grully」とは

——まずはじめに、現在開発されている新しいアプリ「grully(グルリー)」について教えてください。

「grully」は、全国各地の名店や名所を巡るだけでなく、こだわりのテーマにそった旅を可能にするコース探索アプリです。大きな特徴は “コースキュレーター”の存在。全国各地に点在する地域を盛り上げようとしている方や、趣味を極めた方が“コースキュレーター”となり、ガイドブックには載っていない魅力スポットを提案します。

各スポットはGPS・QRコードを活用したチェックイン式。ゲーム感覚で地元の魅力を深堀できるうえ、チェックポイントになっている店舗の多くはキャッシュレス決済を導入しているため快適な買い物が可能。キャッシュレス化がすすめば、地域活性化にもつながると考えています。

——「grully」を開発した狙いは何ですか。

自分自身の経験からもそう断言できますが、「百聞は一見にしかず」です。実際に現地に赴いて、その土地に住む人と触れ合えばこそ、ネットで見聞きしたこととはまったく違う世界を感じることができる。「grully」を通じて新しい経験をしてほしいと思っています。一方、場所の魅力があるのに、魅力をどこにどう伝えたらいいのか分からない自治体や企業は多い。伝わらないから人が来ない、人が来ないから廃れてしまうという“負の循環”があります。そこを「grully」によって“正の循環”にし、地域創生につなげていきたいと思っています。

学生時代は「世界一周大学巡り」の旅で、23カ国50大学を訪問

「世界一周大学巡り」中の金田隼人氏(インド・デリーにあるインド門にて、21歳の時)

——大学在学中、企業から協賛を受けて「世界一周大学巡り」の旅をされていますが、どんな経験をされたのですか。

大学では、ビジネスコンテストや経営者との交流会を開催するなど、学生のためになる活動に熱中していました。地方と交流を持つ中で、地域によって大学における「当たり前」が違うことに気づき、世界の大学はどうだろうと興味が湧いたのがきっかけで、「世界一周大学巡り」プロジェクトに参加しました。

これは大学の先輩たちが企業協賛を得て実現させたプロジェクトで、僕は2期目として23カ国50の大学を訪問。現地の学生たちが何を考え、どんな将来を描いているのかを聞いて回りましたが、日本における学生生活との違いや就職活動のタイミングの違いを肌で感じることができました。

今から8年前のことになりますが、「世界一周大学巡り」が実を結んだ背景にはSNSの発展があります。リアルネットワークで実際に出会った学生たちとの体験を、僕らがオンラインで情報発信する。当時から僕は「アナログとデジタルが高次元に融合することで、人の流れや物流がもっと豊かになる」と考えていましたが「世界一周大学巡り」はまさにそれで、「grully」の原点ともいえる経験でした。

「未常識、不完全、不安定な世界」へ飛び込む。地元・渋沢栄一氏の影響

——大学卒業後はどんな進路を選ばれたのですか。

卒業後、僕は「営業課」という社名の会社に入社しました。2011年3月の東日本大震災のあおりを受けて、社長だけが残った小さな会社です。

嫌な言い方になってしまいますが、学生時代からそこそこ稼げていましたし、大手企業から入社のお誘いもありました。でも、安定したキャリアが見える将来に魅力を感じなかった。もっと自分で切り開いていくこと、「未常識、不完全、不安定」という先が見えない世界に飛び込むことへの美学がありました。

僕の出身地、深谷市は実業家・渋沢栄一氏の出身地でもあります。彼は僕が人生で最初に知った偉人で、子どもながらにリスペクトしていました。大人になり、スモールビジネスを成長させていく道を選んだのは、間違いなく渋沢栄一氏の影響があります。

——「営業課」の仕事は順調に行きましたか?

給料は少なく、社会保険にも入っていない。本当に苦しかったです。「営業課」には4年ほど在籍し、新しい学問を提唱するビジネスプログラムや大学向けの企画、研修など、教育系の事業を行いました。学生と面談したのは年800回以上。学生たちの成長や輝く瞬間に立ち会えたのは大きな喜びでした。

とはいえ、会社としては伸び悩み、経済性と社会性の両面を貫くことの難しさを体感しました。社会に貢献する仕事をしながら、企業としても成長することはできないか。そこで僕は「ネームレス」という別会社を立ち上げ、若き才能を事業として支援するプロデュース業にチャレンジしたのです。

ついに「起業」。右も左も分からない“プロデュース業”の世界へ

——ついに起業されたのですね。

はい。プロデュース業といっても、何から始めればいいのか分かりませんでした。そんな時に、第一線で活躍するメジャーアーティストを多く手掛ける音楽プロデューサーを紹介され、プロデュース論を実地で学びました。その過程で伊勢谷友介氏が立ち上げた「リバースプロジェクト」代表の龜石 太夏匡(かめいし たかまさ)氏に出会い、2017年の夏からプロジェクトベースで参画することに。

クリエイティブな視点で社会課題の解決を試みる、という同社の哲学に共感しました。そして、2018年4月には「日本をキャッシュレス化する」をミッションに掲げる、NIPPON Platform株式会社との合併会社「リバースプロジェクトネクスト」を設立し、代表取締役社長に就任。今に至ります。

——「ネームレス」と「リバースプロジェクトネクスト」など、複数事業を同時並行で行っている金田さんが、働くうえで大切にしている「マイルール」はありますか?

カッコつけていえば、「自分の存在価値を提供する」ことです。スキルを提供する仕事を求められた場合、そのプロジェクトが完了すれば僕は不要になります。しかし、僕の経験や考え方、人とのつながりや事業に対する姿勢、そういった自分の内面や環境を提供すれば、自分の存在そのものを価値にすることができます。あくまでアウトプットの質が高いことが大前提ですが、自分の存在が価値になれば、プロジェクトを超えて声をかけてもらうことができます。

チャレンジしている人を応援するため「教育事業」にも力を注ぎたい

——今後の目標や展望を教えてください。

「grully」に関しては、“コースキュレーター”に情報を提供してもらうことが不可欠です。「grullyで自分のおすすめコースを紹介したい!」と思うような価値を、僕らがいかに提示できるかが重要だと思っています。

個人的には、やはり渋沢栄一氏の話になってしまうのですが、少しでも彼の生きざまに近づくのが目標です。渋沢氏は500社弱の企業、団体を生み出しました。時代も違い、彼ほどの実績は残せないかもしれませんが、チャレンジしている人の力になりたいので、教育にも力を入れたい。教育から事業、事業から教育、というサイクルをこれからも生み出し続けたいと思っています。

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