サーブコープブログ知識・ノウハウ国民健康保険料がさらに値上がり?元国税局職員が対策を解説!年金保険料を抑える方法も

国民健康保険料がさらに値上がり?元国税局職員が対策を解説!年金保険料を抑える方法も

個人事業主やフリーランスの多くが加入する国民健康保険は、会社員の健康保険のしくみとは大きく違うため、予想外に高額になる可能性があります。しかも、平成30年以降の制度改正により、その負担額がアップするケースも出てきています。今回は、平成30、31年度に実施された国民健康保険料の改正状況や支払いを抑える対策、国民年金の節約法についても解説します。

平成30年に制度改正、国民健康保険料値上がりの実態

平成30年4月、国民健康保険料の制度に大きな改正(※1)がありました。それまで、市区町村ごとに決められていた保険料負担額について、平成30年4月以降は都道府県が基準を定めることになったのです。この制度改正により、住む市区町村によっては、平成30年4月から国民健康保険料がアップしています。

それでは、実際にどれくらいの市区町村で国民健康保険料はアップしているのでしょうか? 厚生労働省が発表した、「平成30年度の国民健康保険の保険料率の変動状況」の取りまとめ結果を見てみましょう。

保険料率の動向 引き下げ 据え置き 引き上げ
市町村数 496(29%) 836(48%) 403(23%) 1,735

厚生労働省「平成30年度国民健康保険料等の動向の取りまとめ」より(※2)

この表を見ると、保険料がアップした自治体ばかりではないと思われるかもしれません。しかし、この表で「引き下げ」に区分されている自治体でも、自分の所得などを当てはめると保険料がアップしている可能性があるので注意が必要です。

国民健康保険料は、均等割額・平等割額・所得割率・資産割率の最大4種類の保険料を組み合わせて構成されるものであり、所得の内容や世帯構成、保有資産によって保険料が変わります。そのため、「引き下げ」に区分される自治体に住んでいても、国民健康保険料はアップしている可能性があるのです。

また、平成31年度から国民健康保険料の上限額が、従来の年77万円から年80万円に引き上げられています。従来は年間所得840万円以上だと国民健康保険料は一律年77万円でしたが、年間所得が840万円を超えると、最高年80万円まで保険料の負担額が増えることになります。

こうした改正を受けて、国民健康保険の負担が過去より重たくなっている人がいるかもしれません。次に、この負担を抑える方法について解説します。

フリーランスができる国民健康保険料対策

国民健康保険料を節約するために、まずその計算のしくみを簡単に理解しておきましょう。多くの自治体では、「所得割」と「均等割」の2つの要素から保険料を算出することができます。

所得割とは、所得に応じた「算定基礎額」に保険料率を掛けて計算される保険料であり、均等割は、世帯の国民健康保険加入者の人数に応じて決まる保険料です。

・所得割とは?

まず、「所得割」を下げる方法を考えてみましょう。所得割を下げるには、所得金額を下げなくてはなりません。そのため、まず行うべきこととして、「必要経費をきちんと計上すること」が挙げられます。確定申告の際に必要経費を漏れなく申告することで、所得税や住民税が下がり、さらには国民健康保険料も下げることが可能です。

・青色申告が効果的

さらに、「青色申告」を利用するのも効果的です。青色申告により確定申告をすると、「青色申告特別控除」として最大65万円(令和2年以降は55万円)を所得から差し引くことができますので、やはり所得割を下げる効果があります。

・均等割とは?

次に「均等割」について説明しましょう。こちらは世帯構成に応じて自動的に決まるため、対策できることはあまりありません。ただし、たとえば夫がフリーランスで、妻が会社員といった場合に、子どもを妻の社会保険の扶養に入れて均等割を抑えるといった対策はできるでしょう。

・保険料の減免措置

また、所得が低い世帯の場合、国民年金保険料の減免措置を受けられる可能性があります。そのためには、自分の所得を市区町村に知らせるという意味で、住民税の申告が必要になりますので、必ず申告するようにしましょう。

さらに災害や倒産などの事情で、一時的に生活が困難になったときには、保険料の一部減免を受けられる可能性があります。こういった状況になった場合は、速やかに市区町村の国民健康保険の窓口で相談することをおすすめします。

他にも節約!国民年金保険料を抑える方法

国民健康保険料に加え、個人事業主やフリーランスが負担すべき社会保険料があります。「国民年金保険料」です。国民年金保険料は、1カ月あたり一律16,410円(令和元年度)と定められています。所得や家族構成に関係なく保険料は決められていますので、保険料を下げる方法はないと思われるかもしれませんが、「納付方法」を工夫することで、保険料を低く抑えることができます。

国民年金保険料をまとめて前払い(前納)すると、割引が適用されます。どれくらい割引されるかは、現金払い、口座振替、クレジットカード払いのいずれかによって異なりますが、ここでは現金納付の場合を見ておきましょう。

たとえば、令和元年度分と令和2年度分の国民年金保険料を前払いした場合、次の表のとおり割引を受けることができます。ある程度まとまった納付資金を用意する必要がありますが、その分大きな割引を受けることができますので、検討してみてください。

 

【令和元年度分を前納した場合】

納付方法 保険料総額 割引額
毎月現金納付 196,920円
1年度分を前納 193,420円 3,500円

 

【令和元年度分・令和2年度分を前納した場合】

納付方法 保険料総額 割引額
毎月現金納付 395,400円
2年度分を前納 380,880円 14,520円

 

また、国民健康保険と同じく、国民年金についても、経済的な事情から納付が難しい場合には、免除等の申請が可能です。この場合、年金事務所に問い合わせて必要な手続きを行ってください。

今回の記事でご紹介したとおり、国民健康保険や国民年金の負担を抑える工夫をすることは、決して不可能ではありません。節約のためにできることがあれば、実行してみてはいかがでしょうか。


参照:
(※1)厚生労働省「70歳以上の医療保険制度の見直し」
(※2)厚生労働省「平成30年度国民健康保険料等の動向の取りまとめ」


文・小林義崇(こばやしよしたか)
元東京国税局職員。都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事する。2017年7月、東京国税局を辞職しライターとして開業。実用書や雑誌・WEBメディア記事を多数執筆。

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