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「出入国管理法改正」ってなに?|いまさら聞けない時事問題 Vol.1

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日本では敬遠されがちな時事問題ですが、社会の動向はビジネスにも影響します。忙しいビジネスパーソンのために、いまさら聞けない時事問題を分かりやすく解説するシリーズ。Vol.1は昨年12月に成立したばかりの「出入国管理法改正」(入管法改正)を取り上げます。

なぜ、法律を改正する必要があったのか

現状のポイント

国内の生産年齢人口は減少の一途にあり、国会では深刻な人手不足に歯止めをかけなければならないという点で、与野党ともに一致しています。日本の法律は、外国人の単純労働を原則的に禁止していますが、留学生や技能実習生に一時的な「就労」をしてもらうことで、人手の確保につなげていました。そして2017年度には外国人労働者の数は128万人を突破、過去5年で倍増。もはや日本の産業は、外国人の存在なしには立ち行かない状況となっているのです。

※ 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届け出状況まとめ」に基づく集計(各年10月末現在の統計)

法案成立までの経緯

さらなる労働力の確保を目的に、2018年11月、政府・与党が外国人労働者の受け入れ拡大を軸とした「出入国管理法改正案」を国会に提出。しかし、議論の過程で、外国人労働者が強いられていたブラック労働の実態が次々と発覚しました。社会的に大きな関心が集まり、野党は政府・与党を厳しく追及したものの、改正案審議は1カ月足らず、わずか38時間で終了。結局、2018年12月8日、与党などの賛成多数で法案は可決・成立しました。改正された法律は2019年4月1日から施行されます。

なぜ政府・与党は成立を急ぎ、なぜ野党は批判したのか、法改正後の日本社会はどう変わるのか、改めて概要をまとめました。

法改正で何が変わる? ポイントまとめ

今回の法改正によって、4月1月から2つの在留資格が新設されます。これは今まで認められていなかった「外国人の単純労働」を一転して許可する内容で、その点で、日本の大きな転換期ともなる法改正だったと言えます。

今までの在留資格と比べて何がどう変わるのか、新しい在留資格の内容や働ける業種、今後、受け入れを予定している外国人労働者の数を表にしました。

なぜ賛成?なぜ反対?

人手不足を食い止めるためには外国人労働者に頼らざるを得ない。そこに異論を挟む余地はないのですが、なぜ、野党は激しく反発し、与党はそれでも成立を急いだのか。賛成、反対意見の一例を挙げます。

賛成

・地方を中心に労働者不足は深刻。法改正が必要なのは明らか
・外国人労働者受け入れを拡大しなければ、少子高齢化と人口減少による人手不足を解決できない
・(外国人労働者が増え続けたら日本人の職が奪われるという懸念に対し)人手不足が解消した業種は在留資格の対象から除外、在留資格認定証明書の交付も停止されるので受け入れ人数は管理できる
・法施行から2年後に制度の見直しが図られる。だから問題点があれば後で対応可能

反対

・技能実習生を受け入れている約6000カ所の事業所のうち、7割以上に法令違反が確認されている現状が解決されていない
・外国人労働者の賃金や労働時間、社会保険などの処遇が明確化していない
・2013年からの5年間で失踪した技能実習生の数は延べ2万6000人、問題がさらに深刻化する恐れ
・人手不足が解消されれば日本人の賃金も下がり、失業につながるのではないか

今後の課題は

さまざまな論点がありますが、もっとも大きいのは「日本は外国人労働者を受け入れる準備ができているのか」という点でしょう。数を増やせば人手不足の解消につながりますが、重要なのは「単なる“労働力”ではなく、“人間”を呼び込もうとしていることを認識できているか」です。

2017年だけでも失踪した技能実習生の数は7000人以上。最低賃金以下の支払いや人権侵害、長時間労働の強制などが次々発覚していますが、実態調査や根本的な問題解決はなされていません。

慢性的な人手不足が続き、一人ひとりの労働者にかかる負担が大きくなりがちな仕事に外国人労働者をあてがえば、こうした問題が深刻化する懸念も。法律が成立した今も、課題は山積みのままです。

 

参照:
入管法及び法務省設置法改正について(入国管理局)
新たな外国人材の受入れに関する在留資格「特定技能」の創設について(官邸)
在留資格一覧表(平成30年8月現在)
技能実習制度の現状(法務省)


監修:猿川 佑氏
ジャーナリスト、雑誌編集者。政治・社会問題からライフスタイルやファッションまで、扱う分野は多岐にわたる。

 

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