バーチャルオフィスにおすすめの業種と法人登記できない業種

住所や電話番号などのオフィス機能の一部をレンタルできる「バーチャルオフィス」は、起業や副業を検討している方におすすめのオフィス形態です。一方で、業種によってはバーチャルオフィスでの法人登記が認められない場合があるため、注意しなければなりません。
本記事では、バーチャルオフィスで法人設立ができない業種とその理由から、活用に適した業種や企業まで詳しく解説します。
バーチャルオフィスの法人登記は合法。ただし業種に注意。

基本的にバーチャルオフィスでは法人登記が可能なため、起業や創業時に活用する方も多くいらっしゃいます。
ただし、業種によってはバーチャルオフィスでの法人設立ができないことに注意が必要です。また、一部のバーチャルオフィスでは、法人登記自体が不可とされているケースもあります。
法人登記を目的にバーチャルオフィスの利用を検討している場合は、利用予定のオフィスが法人登記を許可しているか、また自社の事業が法人登記できない業種に該当しないかを、事前に確認することが重要です。
バーチャルオフィスとは?
バーチャルオフィスとは、実際に働く場所ではなく、本社所在地としての住所や電話番号といった、オフィス機能の一部を必要に応じて利用できる柔軟なサービスのことです。
一般的なバーチャルオフィスでは、以下のようなサービスが提供されています。
| バーチャルオフィスのサービス | |
| 基本のサービス | 
  | 
| オプションサービス | 
  | 
運営事業者によってサービスの内容は異なるため、契約前に自社の求める内容が含まれているかの確認が必要です。バーチャルオフィスの詳細はこちらの記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
バーチャルオフィスで法人登記できない業種

バーチャルオフィスは、ビジネスの早期立ち上げや経費削減など、開業・創業時に多くのメリットがあるサービスです。しかし、実態のあるオフィスではないことから、一部の業種では法人登記や設立・開業に利用できないケースがあります。
ここでは代表的な「バーチャルオフィスでは法人登記や法人設立・開業ができない業種」について、その理由とともにご紹介します。
人材派遣業
人材派遣業は開業前に厚生労働省の許可(労働者派遣事業許可)が必要となる事業です。要件には「事業で使用できる面積が20㎡以上あること」が定められています。
バーチャルオフィスは、あくまでオフィス機能の一部を貸し出すサービスであり、この要件に合致しないため、人材派遣業の法人登記はできません。
建設業
建設業は「建設業法」の適用を受ける許認可事業です。開業前に国土交通大臣、または都道府県知事から許可を受ける必要があります。
営業所についての要件は、各都道府県の整備局によって若干異なりますが、多くの場合、請負契約の締結などができる実態的な事務所を設けること、看板などで外部から建設業の営業所とわかるように表示することなどが求められます。バーチャルオフィスではこの要件を満たせないため、法人登記ができません。
不動産業
不動産業は「宅地建物取引業法」の適用を受ける許認可事業です。開業前に国土交通大臣または都道府県知事に対しての許認可申請を行う必要があります。要件には、事務所内での報酬額の掲示や、帳簿・従業員名簿の保管などが定められています。実際に業務を行う営業所が求められるため、バーチャルオフィスを住所地として申請することはできません。
廃棄物処理業
廃棄物処理業は「廃棄物処理法」の適用を受ける許認可事業です。都道府県知事または市町村長に対しての許認可申請を行う際に「取り扱う廃棄物の性状に応じた適正な処理のできる施設を有すること」が求められます。この事業場の要件を満たせないため、バーチャルオフィスでの法人登記は不可となります。
探偵業
探偵業は「探偵業の業務の適正化に関する法律」の適用を受け、営業所ごとに公安委員会へ届け出が必要な事業です。上記の法律を解説する警視庁「探偵業ガイド」には「電話の取次ぎのみを行う場所や、私書箱を設けるだけのものなどは営業所とはいえません」と記載があります。バーチャルオフィスでは実態のあるオフィスを借りられず、警視庁の求める探偵業の営業所の要件を満たせていないため、法人登記ができません。
参考:警視庁「探偵業ガイド」
金融商品取引業
金融商品取引業は「金融商品取引法」の適用を受け、原則として内閣総理大臣の登録が必要な事業です。許認可申請を行う際の、営業所についての要件には「営業所に登録番号などを記載した標識を掲示」することが義務付けられています。そのため、バーチャルオフィスを住所地として申請し、法人登記することができないのです。
古物商(中古販売、リサイクルショップ)
古物商は「古物営業法」が適用されており、営業所ごとに、営業所が所在する都道府県の公安委員会からの許可が必要な事業です。許可を受けるには、管理者が在中できる占有の営業所を届け出なければなりません。また、営業時にも、営業所の見やすい場所に許可を受けた証を表示することなどが求められています。こうした理由から、バーチャルオフィスを古物商の営業所として届け出ることはできません。
一部の士業
弁護士や税理士、司法書士、行政書士といった、一部の士業もバーチャルオフィスでの法人登記は不可能です。士業を行うための専門職事務所を開業する場合、それぞれに「事務所要件」が定められています。中には開業の条件として、賃貸契約書や事務所内の写真の提出などが求められるケースもあります。そのため、士業の多くは、バーチャルオフィスを事務所にして開業することができません。
なお、実体のあるオフィススペースを契約するレンタルオフィスの場合は、士業事務所の開業が可能です。士業事務所開業に適した1~2名のごく少人数のオフィススペースである「レンタルオフィス」について詳しく知りたい方は、以下の関連記事を参考にしてください。
■関連記事
風俗営業
風俗業は「風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)」が適用されており、都道府県公安委員会から風俗営業許可を得る必要があります。例えば、無店舗型性風俗関連特殊営業の場合では、届出書に「営業所(待機所)の平面図」の提出が必要であることなどから、バーチャルオフィスを営業所として届け出ることはできません。また、バーチャルオフィス側が、風俗営業事業者の利用を制限しているケースもあります。
有料職業紹介業
有料職業紹介業は「職業安定法」の適用を受け、厚生労働大臣の許可が必要な業種です。申請を行う際、事務所の要件として、求職者のプライバシーを保護しつつ対応できること、個室が設置されていること、事務所面積が20㎡以上であることなどが求められています。バーチャルオフィスはこの条件を満たしていないため、営業所として届け出ることはできません。
バーチャルオフィスに向いている業種

開業時に許認可が必要ない業種の多くは、バーチャルオフィスを本社所在地として、法人登記や開業届を行うことが可能です。その中でも、特にバーチャルオフィスでの開業に向いている業種について、理由とともに紹介します。
Webビジネス
Webビジネスは、インターネットを通じて商品・サービスを提供し、収益を生む仕組みです。この業界で働くブロガーやWebライター、エンジニア、広告運用担当などは、インターネット環境とスマホやパソコンなどの端末が用意できれば、特定の場所に縛られずに業務を進められます。また、Webビジネス業界では、従業員全員のフルリモートワークを前提に起業するケースも少なくありません。こうした働き方をしている場合の事業の拠点として、バーチャルオフィスが幅広く活用されています。
クリエイター
動画配信者や動画編集者、インフルエンサー、カメラマン、イラストレーター、デザイナーなどのクリエイターは、自宅を仕事場とするケースが多くみられます。業務上の連絡先として「自宅の住所」を公開したくない場合に、住所のみを借りられるバーチャルオフィスが最適です。比較的安価な費用で、安心して使用できる住所を取得できます。
また、自宅が住宅用賃貸物件の場合は、規約上、法人登記が認められていないケースも存在します。クリエイターの業務内容であれば、バーチャルオフィスでの法人登記も可能なため、開業時にも有効活用できます。
ネットショップの運営・販売
ネット専業ショップの運営では、ホームページ上に連絡先住所や電話番号をわかりやすく掲示することが、特定商取引法で義務付けられています。防犯のため、商品の在庫を置く倉庫や自宅を公開したくない場合などは、バーチャルオフィスでの住所登録が安心です。
コンサルタント・講師
個人で活躍する経営コンサルタントやWebコンサルタント、講師などは、特に顧客からの信用が重要となる職種と言えます。バーチャルオフィスを活用すれば、一等地の住所を使用して名刺を作れるため、信頼性を高めやすいことがメリットです。
また、取引先との商談や、顧客から相談を受ける際に、拠点での対応を希望されることもあるでしょう。こうした場合に、バーチャルオフィスの時間単位で利用できる貸会議室やラウンジエリアを活用すると便利です。
出張ビジネス
出張型の整体やヨガインストラクター、家事代行など、お客様からの求めに応じて業務を行う場所が変わる「BtoC」の出張ビジネスにも、バーチャルオフィスが適しています。こうした出張ビジネスでは、顧客がサービスを検索する際「地名+サービス名」で検索することが多くなります。活動を行う拠点エリアのバーチャルオフィスを活用すれば、問い合わせ導線を確保し、売り上げの向上を目指せます。
その他
占い師、オンライン秘書、翻訳家など、個人事業として働く職種は他にも多数あります。「受注量・業務量が時期によって異なるため安定しないが、公開できる住所が欲しい」「顧客と対面することはないが、自宅住所は公開したくない」といったお悩みがある場合でも、毎月の固定費が小さいバーチャルオフィスは事業継続の負担を軽減します。
実際にバーチャルオフィスを利用している企業の業種例

40年以上前にバーチャルオフィスという新しいオフィス形態を生み出し、各種オフィスサービスのパイオニアとして業界を牽引してきたサーブコープ。そんなサーブコープのバーチャルオフィスサービスは、さまざまな業種の企業にご利用いただいております。以下は、実際にサーブコープのバーチャルオフィスを利用する企業の業種例です。
- マーケティング業
 - コンサルティング業
 - 旅行サービス業
 - ECサイト販売事業
 - 写真業
 - 研修講師業
 - インターネット回線取次販売事業
 
これらの利用事例の詳細は、「サーブコープのお客様事例」でご紹介しております。サーブコープのバーチャルオフィスを活用した法人登記や住所利用の事例、導入によって得られるメリットなどをご確認いただけますので、ぜひあわせてご覧ください。
バーチャルオフィスに向いている企業タイプ
業種や職種といったポイント以外に、組織のスタイルによってもバーチャルオフィスに向いている形態があります。ここでは、代表的な4つの形態をご紹介します。
個人事業主・フリーランス
個人事業主やフリーランスとして法人と取引する際には、契約書や請求書、見積書などの作成時に住所を記載することがあります。プライバシーなどの観点から、自宅住所を公にしたくない場合、バーチャルオフィスの活用がおすすめです。バーチャルオフィスで住所を借りておくことで、多数の取引先に自宅住所を公開するリスクを回避できます。
副業・兼業
近年は就業規則で副業を認める会社も増えてきています。しかし、副業や兼業を始めるにあたり、「自宅で秘匿性の高い書類を扱いたくない」「同居する家族には知られずにスタートさせたい」といったケースもあるでしょう。その場合は、郵便物を受け取ってくれるバーチャルオフィスを活用すれば、安心して副業や兼業に専念できます。
スタートアップ企業・ベンチャー企業
スタートアップ企業やベンチャー企業は、ビジネスが軌道に乗るまで、資金面での不安を抱えて事業をスタートさせることも多いでしょう。バーチャルオフィスは、他のオフィスサービスと比べて費用が安価なため、オフィス賃料にかかる固定費を最小限に抑えられます。また、バーチャルオフィスによっては一等地の住所を借りられるため、取引先からの信頼性の向上にも寄与します。
海外企業の日本進出・日本企業の海外進出
バーチャルオフィスは国際市場への進出を目指す企業にも適しています。
例えば、海外に本社を持つ企業が日本に進出する際、本格的な事業をスタートする前に、情報収集や市場調査などのために、一時的な連絡先拠点が必要になることがあります。バーチャルオフィスなら、一時的な住所と郵送先を手軽に確保しやすく、費用を抑えながら日本市場への進出が可能です。
また、日本企業が海外に進出する場合、日本でも拠点を持つバーチャルオフィス事業者を活用することで、言語・商習慣などの壁を乗り越えるためのサポートを受けられる場合もあります。
バーチャルオフィスを利用する目的

これまでにご紹介した業界・職種・事業主体をもとに、「バーチャルオフィスを利用する目的」をまとめて見ていきましょう。
自宅住所を公開しなくていい
バーチャルオフィスを利用する目的の多くに、自宅住所を公開せずに済むことが挙げられます。
「実際の業務は自宅の一室で行うが、自宅の賃貸物件は住宅用で事業用の登録は認められていない」
「家族から反対されているので自宅住所を公開したくない」
このような事情があるなら、バーチャルオフィスで公開用連絡先や登記用住所地を確保しましょう。
オフィスコストが抑えられる
バーチャルオフィスの利用料金は事業者によっても異なりますが、多くは千円~数千円程度で利用が可能です。実際のオフィスを借りる場合は、敷金・礼金・保証金など、多額の初期投資や高額なランニングコストが必要となります。オフィスにかかる固定費を抑えたい場合は、バーチャルオフィスの利用が有効です。
ビジネス用の住所をすぐに利用できる
バーチャルオフィスは基本的に法人登記への対応が可能です。契約後はすぐに利用を開始できるため、一般のオフィス用賃貸物件と比較して数日~数ヶ月の準備期間を短縮できます。
一等地の住所を使用できる
一般的なバーチャルオフィスはビジネス街の中心地などに拠点があります。バーチャルオフィスの契約によって、一等地の住所を使用することが可能です。一等地にオフィスの拠点を構えていることは、取引先からの信頼性を高めることにもつながります。
起業家に選ばれるサーブコープのバーチャルオフィス

サーブコープのバーチャルオフィスは、東京の丸の内や大手町をはじめとする国内屈指のビジネス拠点、30拠点の一等地住所をご利用いただけます。法人登記に加え、郵便物の管理や専用電話番号など、ワンランク上のオフィス環境を提供しています。
サーブコープのバーチャルオフィスの大きな特徴は、各拠点にバイリンガルの受付スタッフや秘書チームが常駐している点です。総務や会計などの事務作業をはじめ、幅広いサポートを提供しており、起業間もない企業はもちろん、国際的なビジネスを展開する企業にも安心の環境です。
また、サーブコープのバーチャルオフィスには、コワーキングスペースやレンタルオフィスも併設しています。取引先との商談や作業時に、希望に応じていつでもどこでも会議室や役員会議室、設備をご利用いただけます。
このような特徴があることから、サーブコープのバーチャルオフィスは、多くの起業家の方からご好評をいただいています。サーブコープのバーチャルオフィスの魅力について、さらに深く知りたい方は関連記事をご覧ください。
\サーブコープのバーチャルオフィスの魅力とは?/
詳細を見る
よくある質問
バーチャルオフィスを利用して起業・開業を準備中の方から寄せられるご質問の中から、特に多い2つをピックアップしてご紹介します。
バーチャルオフィスで銀行口座開設はできる?
多くの金融機関ではバーチャルオフィスを所在地としていても、法人用の銀行口座や個人事業用の銀行口座を開設できます。ただし、バーチャルオフィスを所在地とした口座開設は、犯罪防止の観点から、金融機関の審査が厳しくなりやすい点に注意が必要です。
また、一部の金融機関では、バーチャルオフィスでは口座開設ができないこともあります。口座開設予定の金融機関に、あらかじめ問い合わせ、詳細を確認しておくことをおすすめします。
バーチャルオフィスで銀行口座を開設する場合の、手順や注意点などの詳細は、こちらの記事も参考にしてください。
バーチャルオフィスを選ぶ時に注意するポイントは?
バーチャルオフィスの基本サービスは、「住所の貸し出し」と「郵便物の受け取り」というシンプルなものです。しかし、バーチャルオフィスによって、追加できるオプションサービスの内容や特徴が異なるため、選ぶ際には十分に比較することがポイントとなります。
例えば、住所と立地をはじめ、受付の雰囲気やスタッフの対応、会議室の利用可否、延長や解約の条件など、さまざまなチェック項目で確認することで、自社にとって適切なバーチャルオフィスを選べます。
こちらの記事では、バーチャルオフィスの選び方について、11のチェックポイントを解説しています。バーチャルオフィスを選ぶ際にぜひお役立てください。
(まとめ)バーチャルオフィスは業種に応じて利用の検討を

バーチャルオフィスは費用を抑えつつ一等地の住所を使用できるため、起業・開業時の強い味方です。ただし、業種によっては法人登記ができないケースもあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
サーブコープでは、プライベートツアーも実施しておりますので、実際の環境をご覧いただきながら、ご要望に最適なプランをご提案いたします。業種によって、バーチャルオフィス利用にどのようなメリット・デメリットがあるか、また、ご自身のビジネスに最適なプランを詳しく知りたい方は、お気軽にサーブコープまでお問い合わせください。
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