決算月(決算期)とは?多い月ランキングや調べ方、決め方を解説
決算月(決算期)とは、事業年度の最終月を意味します。企業経営において、決算月の選択は単なる会計上の区切りではありません。資金繰りや業務効率、税務対応に至るまで、幅広い影響を及ぼす重要な経営判断のひとつです。本記事では、決算月の基本から他社の動向、自社に最適な決算月の選び方まで、起業家やビジネスオーナーが把握しておきたい情報を網羅的に解説します。
決算月(決算期)とは?

決算月(決算期)とは、企業が定める、事業年度の最終月のことです。例えば、事業年度を「5月から翌年の4月」としている場合、4月が決算月となります。
個人事業主の場合、事業年度が1月から12月までと法律で定められていますが、法人の場合は1年以内であれば任意の期間を設定できます。
法人は事業年度における売上や経費、利益などを精査して決算書を作成し、その内容に基づいて法人税や消費税の申告・納税を行います。そのため、決算月は企業の繁忙期や資金繰りなどを踏まえて決定することが一般的です。
中間決算・四半期決算とは?
なお、事業年度の途中で行われる決算もあります。
中間決算とは、事業年度の半期(6カ月)が終了した時点で行う決算です。四半期決算は事業年度を四半期(3カ月)ごとに区切って行う決算を指します。
企業は、年度の途中で財務状況や業績の進捗を確認する目的で、中間決算や四半期決算を実施することがあります。これらは、現状の把握や迅速な経営判断に役立てられます。
個人事業主の決算は12月
個人事業主の事業年度は、所得税法の規定により1月1日から12月31日までと定められています。この1年間の所得を算出し、原則として翌年の2月中旬から3月中旬までの期間に確定申告と納税を行います。
法人成りを検討する際には、個人事業主時代と同じ12月を決算月に設定するケースも少なくありません。これまでの会計処理の流れを継続でき、過去の業績との比較もしやすくなるためです。このように、決算月の選択は実務面にも影響を及ぼします。
法人の決算月は何月が多い?多い順ランキング
日本の法人では、決算月は何月が多いのでしょうか。下の表は、国税庁が公表する「国税庁統計年報 令和5年度版」の「決算期別の普通法人数及び通算法人数」のデータをもとに、決算月(事業年度終了月)を多い順に並べたものです。
| 順位 | 決算月(事業年度終了月) | 申告法人数(社) |
| 1位 | 3月 | 533,389 |
| 2位 | 9月 | 324,545 |
| 3位 | 12月 | 312,047 |
| 4位 | 6月 | 287,232 |
| 5位 | 8月 | 257,084 |
| 6位 | 5月 | 243,327 |
| 7位 | 7月 | 224,893 |
| 8位 | 4月 | 205,071 |
| 9位 | 2月 | 195,318 |
| 10位 | 10月 | 151,782 |
| 11位 | 11月 | 116,190 |
| 12位 | 1月 | 108,425 |
※出典:国税庁「国税庁統計年報 令和5年度版」(決算期別の普通法人数及び通算法人数)を加工して作成
決算月の中で最も多いのは3月です。一方で9月や12月、6月を決算月としている法人も一定数存在しており、特定の月に極端に集中しているわけではありません。
なぜ3月決算が多いのか?
3月決算が多い背景には、日本の社会制度との相性の良さがあります。
官公庁の会計年度に合わせやすい
国や地方自治体が採用している会計年度は、原則として4月1日から翌年3月31日までと定められています。官公庁を主な取引先とする企業の場合、相手方の年度に合わせることで予算管理や契約更新などのタイミングを調整しやすくなります。特に公共案件の比重が高い企業ほど、入札や予算執行などの時期を同期させる利点が大きく、足並みを揃える目的で3月決算を選択する傾向があります。
人事・教育制度と連動できる
日本では長らく4月入社という慣習が根付いており、多くの組織がこの時期を起点に動いています。事業年度も4月開始とすることで、新入社員の受け入れや定期昇給、人事評価などの時期と一致させやすくなります。組織運営の節目と業績管理の区切りを一体化できれば、経営計画の策定や人員配置の検討も進めやすくなり、管理部門の負担軽減にもつながります。
税制改正への対応がしやすい
税制改正は4月1日から施行されることが比較的多く、3月を決算期に設定しておけば、新制度を期首から適用しやすくなります。年度の途中で会計処理の方法が変更される事態を避けやすいため、対応が比較的円滑に済む点も魅力です。
こうした実務上の合理性が、多くの法人が3月決算を選ぶ理由のひとつとなっています。
6月決算・9月決算・12月決算のメリットや特徴
3月以外の決算月にも、それぞれ選ばれる理由があります。事業の繁忙期や経営方針に合わせて決算期を設定することで、決算業務の負担を分散できます。
6月決算は、多くの企業が選択している3月決算の時期を避けられる点が特徴です。決算や申告時期のピークを外すことで、専門家の支援を受けやすい点に加え、社内の業務計画にも余裕を持たせやすくなります。
9月決算は、春先の繁忙期と決算業務を分けられる点がメリットです。3月や4月は年度末処理や人事異動が集中しやすいため、決算時期をずらすことで社内の負担軽減につながります。
12月決算は、暦年と一致するため業績管理がしやすいのが特徴です。1月から12月までを1年単位で把握でき、年間計画も立てやすくなります。海外では12月決算を採用する企業が多い国もあり、海外の親会社や子会社との決算時期を統一しやすい点も利点です。
他社の決算月の調べ方

競合他社や取引先の決算月を把握することは、業界の傾向を理解し、自社の決算月を検討する上で参考になります。ここでは、2つの調べ方を解説します。
企業概要やIR情報を確認する
上場企業であれば、公式サイトの「会社概要」や「IR情報」ページに事業年度や決算期に関する情報が記載されています。まずは企業サイトを確認するのが、最も手軽な方法です。
また、決算短信や有価証券報告書にも決算期は明記されています。IRページから資料をダウンロードすれば、決算月だけでなく業績や方針もあわせて確認できます。
金融庁のEDINETを利用する
金融庁が運営する「EDINET」では、有価証券報告書などの開示書類を検索・閲覧できます。主に上場企業など、有価証券報告書の提出義務がある企業の資料を確認することが可能です。開示書類の中には事業年度や決算期が記載されています。EDINETは無料で利用できるため、複数企業を比較したい場合にも便利な調査方法です。
会社の決算月(決算期)はいつがいい?決め方のポイント

決算月は「日本企業が多く採用している決算月に合わせれば良い」というものではありません。自社の事業内容や資金の流れ、組織体制などを踏まえ、総合的に判断することが重要です。ここでは、決め方のポイントをご紹介します。
会社設立日から十分に期間を空ける
設立直後は、営業活動や体制整備、各種届出などに追われがちです。設立から決算日までの期間が短いと、事業が安定する前に決算作業が発生し、経営者や経理担当者の負担が大きくなります。そのため、余裕を持ったスケジュールにすることが望ましいでしょう。初年度の事業年度をできるだけ長く設定すれば、事業の実態を反映した決算を行えます。
会社・税理士の繁忙期を避ける
決算期には、棚卸しや残高確認、決算整理仕訳、申告書作成など多くの業務が集中します。本業の繁忙期と重なると、通常業務と決算対応の両立が難しくなり、ミスや遅延の原因にもなりかねません。そのため、事業の特性を踏まえた決算月の設定が重要です。
また、一般的に3月決算企業の申告が集中する4月、5月や、年末調整や確定申告業務が重なる12月から翌年3月は会計事務所も繁忙期にあたります。比較的落ち着いた時期を選ぶことで、十分な打ち合わせ時間を確保でき、より丁寧な対応を受けやすくなります。
売上の最盛期に合わせる
売上が最も伸びる時期を期首に設定するという考え方もあります。繁忙期の売上を新年度の開始時期に組み込むことで、好調な数字で事業年度を始められ、社内の士気向上にもつながります。
また、期首に資金が潤沢であれば、設備投資や人材採用などへの投資も計画的に進めやすくなります。売上の波や資金の流れを把握した上で、経営戦略に合った決算月を検討しましょう。
収支の見通しを踏まえる
決算月は、納税資金を準備できるタイミングを見据えて設定することも大切です。法人税や消費税の納税期限は、原則として決算日の翌日から2カ月以内です。その時期に十分な現金を確保できていないと、資金繰りが厳しくなる可能性があります。
売上入金が集中する月や、仕入れ・賞与など大きな支出が発生する時期を整理し、年間の収支の見通しを立てておきましょう。資金が比較的安定している時期の「2カ月前」を決算月に設定することが、ひとつの目安となります。
参考:国税庁「申告と納税」
消費税の免除期間を考慮する
資本金1,000万円未満の新設法人は、一定の要件を満たせば、原則として設立後最長2期は消費税の納税義務が免除されます。初年度の事業年度を「半年ではなく1年にする」など長めに設定すれば、実質的な免税期間を長く活用できる可能性があります。
ただし、資本金や売上規模によっては免税対象外となる場合もあります。制度の要件を確認し、専門家と相談しながら慎重に判断しましょう。
親会社・取引先の決算月との関係を考慮する
親会社がある場合や主要取引先が明確な場合は、相手の決算月との関係も重要な判断材料です。親子会社で決算期を統一すれば、連結決算の作成や業績管理が円滑になります。報告資料の作成時期も合わせやすく、グループ全体の経営管理の効率化につながります。
一方で、取引先とあえて決算期をずらすことで、請求や入金処理の集中を避けられる場合もあります。経理業務の負荷分散という実務上のメリットも見逃せません。また、業界で主流の決算月に合わせることで、同業他社との業績比較がしやすくなるという利点もあります。
決算月(決算期)は後から変更が可能
一度決めた決算月も、必要に応じて変更できます。事業環境の変化や経営戦略の見直しに伴い、決算期を変更する企業は珍しくありません。ただし、メリットだけでなくデメリットも理解した上で、慎重に判断することが大切です。
決算月を変更するメリット・デメリット
決算期を変更するメリットは、繁忙期との重複を避けられ、業務負担の軽減を期待できることです。売上の波に合わせて調整すれば、より実態に即した経営管理が可能になります。状況によっては、課税所得の偏りが緩和されるケースもあります。
一方で、変更には株主総会決議や各種届出が必要です。変更前の事業年度は12カ月未満となり、税金の計算に影響が出るほか、前期との比較も難しくなります。
決算月を変更する方法
決算月を変更する主な流れは、株主総会で定款を変更することと、関係各所へ届出を行うことです。それぞれの具体的な手続き内容を確認していきましょう。
株主総会で定款の変更を決議する
決算期は定款に定められているため、変更には定款変更の手続きが必要です。株主総会の特別決議により承認を得ます。原則として、議決権の過半数を有する株主が出席し、その3分の2以上の賛成が求められます。決議後は議事録を作成し、定款の変更を行います。
税務署へ届出書を提出する
定款変更後は、所轄税務署へ「異動事項に関する届出」を提出します。変更後の事業年度を記載し、必要に応じて定款変更を証明する書類などを添付します。
あわせて、都道府県税事務所や市区町村への届出も必要です。なお、変更により12カ月未満となる事業年度についても、通常どおり決算と申告を行う点に注意しましょう。
自社の決算月がわからないときの調べ方

既存の法人で決算月を確認したい場合、いくつかの方法があります。ここでは、代表的な確認方法を紹介します。状況に応じて、取り組みやすい方法から順に調べましょう。
会社の定款を確認する
最も確実な方法は、会社の定款を確認することです。定款には事業年度が明記されており、「毎年○月○日から翌年○月○日まで」といった形式で記載されています。会社の基本ルールを定めた書類のため、正確性が高い点が特徴です。
定款は設立時に作成され、原本は本店で保管する義務があります。紙の原本だけでなく、電子定款のデータが保管されている場合もあるため、総務部門や代表者に確認してみましょう。
法人設立届出書の控えを確認する
法人設立時に税務署へ提出した「法人設立届出書」の控えにも、事業年度が記載されています。設立時の税務関係書類として保管されていることが多く、定款と並んで信頼できる資料です。
社内で見つからない場合は、まず経理や総務部門に確認しましょう。それでも不明な場合は、所轄の税務署に問い合わせることで確認できる場合があります。状況に応じて対応を検討しましょう。
担当の司法書士や行政書士、顧問税理士に問い合わせる
会社設立時に司法書士や行政書士へ手続きを依頼している場合、当時の記録を保管している可能性があります。事業年度の情報も把握していることが多く、有力な確認先のひとつです。
また、顧問税理士がいる場合は、税理士へ確認するのが効率的です。毎年の決算申告を担当しているため、決算月を正確に把握しています。迅速に確認したい場合に適した方法と言えるでしょう。
決算月(決算期)にやること
決算月には、通常業務に加えて以下のような作業が発生します。
| 業務内容 | 主な作業内容 | ポイント |
| 在庫の棚卸し | 在庫の実地確認、数量・金額の確定 | 利益に直結するため慎重に実施 |
| 決算整理仕訳 | 減価償却費、引当金、前払・未払の調整 | 期間損益を正しく計算する |
| 売掛金・買掛金の確認 | 自社や取引先との管理表を照らし合わせ残高照合 | 差異があれば原因を特定 |
| 決算書作成 | 貸借対照表・損益計算書などの作成 | 株主総会での報告が必要 |
| 税務申告 | 法人税・消費税の申告書作成 | 原則、決算日の翌日から2カ月以内に申告・納税 |
上記のとおり、決算月は多くの業務が短期間に集中します。特に棚卸しや決算整理仕訳は、利益や税額に直接影響する重要な工程です。早めにスケジュールを立て、担当者や税理士と連携しながら進めることで、ミスや申告遅れの防止につながります。
また、決算後は原則2カ月以内に法人税や消費税の申告・納税を行う必要があるため、資金繰りの準備も欠かせません。余裕を持った体制づくりが、正確で円滑な決算業務を支えます。
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(まとめ) 決算月は自社の状況に応じて最適な時期を選ぼう
決算月の選択は企業経営において重要な判断のひとつです。日本では3月決算を採用する企業が多く見られます。これは、官公庁の会計年度や教育制度との整合性を背景としたものですが、9月決算や12月決算にもそれぞれメリットがあります。
決算月を決める際は、事業特性や成長戦略に照らして判断する視点を持ち、設立日との間隔や繁忙期の回避、資金繰りなどを踏まえて総合的に検討することが大切です。
適切な決算月を選ぶことで、業務効率や資金繰りの安定、税務対応の円滑化といった効果を期待できます。自社に最適な時期を見極め、持続的な成長につなげましょう。




