年商とは?売上高・年収・利益との違い、確認方法や注意点を解説

年商とは、企業が1年間に得た売上の総額を指し、事業規模を把握する際の目安として使われます。本記事では、年商の意味や計算方法、売上高・年収・利益との違い、年商を確認するときの注意点や年商を伸ばす方法やポイントなどを解説します。
年商とは?

年商とは、企業が1年間の事業活動を通じて得た売上の総額のことです。一般的に「年間売上高」と同じ意味で使われる慣用的な表現で、企業の事業規模を示す目安のひとつとして用いられます。
なお、年商は売上の合計額を表す指標であり、そこから人件費や賃料、仕入れ原価などの経費を差し引いた「利益」とは異なります。年商について理解するため、まずは具体的な計算方法から見ていきましょう。
年商の計算方法
年商の基本的な計算方法は、1年間の売上高をすべて合計することです。例えば、1月が80万円、2月が120万円……12月が95万円というように、各月の売上を合計した金額が年商となります。仮に1年間の売上高合計が1,295万円であれば、年商は1,295万円です。
直近月の売上を12倍して年商の目安を計算するケースもありますが、あくまで参考値として扱うのが一般的です。
売上・売上高とは?

売上とは、商品やサービスを販売して得た収益のことです。売上高は、その売上を一定期間で合計した金額を指し、1か月・四半期・1年など、目的に応じて集計されます。以下で、売上高の具体的な計算方法を見ていきましょう。
売上(売上高)の計算方法
売上高の計算方法は、「販売単価 × 販売数量」です。
例えば、1個1,000円の商品を100個販売した場合、「1,000円 × 100個 = 10万円」となり、売上高は10万円です。
複数商品を扱う場合は、商品それぞれの売上を合計します。500円の商品を2個、1,000円の商品を4個販売した場合は、「(500円 × 2個) + (1,000円 × 4個) = 5,000円」となり、5,000円が売上高です。
売上高は日別・月間・四半期・年間など、さまざまな期間で区切って集計できます。そのため、経営分析や営業目標の設定、業績管理などに広く活用されます。
年商と売上高の違い

年商と売上高の違いは、主に使われる文脈にあります。会計上の正式な表記は「売上高」で、1日・1か月・四半期・1年など目的に応じて集計されます。そのうち、1年間分の売上高を指して「年商」と表現するケースが多く見られます。
また、活用シーンにも違いがあります。年商は広告やメディアなどで「年商○億円企業」のように用いられることが多く、企業の事業規模を示す目安です。一方、売上高は経営計画や営業目標の設定、業績分析など、企業経営における指標として活用されます。
決算書においては、損益計算書に記載される年間売上高が年商に相当します。上場企業は有価証券報告書や決算短信で売上高(損益計算書)を開示しています。このような情報は、業績の把握や経営状況・傾向の分析に役立つでしょう。
年商と「年収・利益・所得」との違い

年商は「年収」「利益」「所得」といった用語と混同されやすい言葉です。似ているようで、それぞれ異なる4つの用語の違いについて解説します。
年商と年収の違い
年商と年収の違いは、「企業の収入か個人の収入か」という点です。年商は企業が事業活動を通じて得た売上総額であるのに対し、年収は個人が1年間に得た収入の総額を指します。
年収の計算方法は雇用形態によって異なります。会社員の年収は、税金や社会保険料を差し引く前の給与の額面金額(基本給+各種手当+ボーナス)の年間合計です。個人事業主の場合、一般的に年収と呼ばれることもありますが、実際には年商から仕入れ原価や必要経費を差し引いた金額が、所得(手取りの目安)となります。
なお、法人化している経営者の場合、事業で得た年商がそのまま個人の年収になるわけではありません。会社から支給される役員報酬などの年間合計が、経営者個人の年収です。
年商と利益の違い
年商と利益の違いは「売上総額か、儲けの額か」という点です。年商は企業が1年間に得た売上の総額を示すのに対し、利益は売上からさまざまな費用を差し引いた後に手元に残る金額を指します。
利益には以下のようにいくつかの種類があります。
- 売上から売上原価を差し引いたものが「売上総利益(粗利)」
- そこから販売費と一般管理費を差し引いたものが「営業利益」
- さらに営業外費用を差し引いたものが「経常利益」
- 最終的に特別損失や法人税等を差し引いたものが「当期純利益」
年商が企業の事業規模を示すのに対し、利益は企業の収益性や経営の健全性を示す指標となります。
年商と所得の違い
年商と所得の違いは、「税法上の課税対象かどうか」という点です。
年商は1年間に得た売上総額を指すのに対し、所得は収入から必要経費を差し引き、さらに所得控除を適用した後の金額で、税金計算の基礎になります。所得控除は基礎控除や配偶者控除など、税額を計算する際に収入から差し引ける金額のことです。
所得の計算方法は個人事業主と会社員で異なります。個人事業主は年商から必要経費を引き、さらに所得控除を差し引いて計算します。会社員は年収から給与所得控除を差し引き、さらに基礎控除などの所得控除を適用した金額が、課税対象となる所得になります。
企業の年商の確認方法

企業の年商を確認するには、いくつかの方法があります。ここでは年商を確認する3つの方法について解説します。
損益計算書を確認する
年商は、損益計算書の「売上高」を確認することでわかります。
損益計算書は企業の一定期間における経営成績をまとめた財務書類です。1年間を対象とした損益計算書であれば、最上部に記載されている売上高がそのまま年商となります。
上場企業の損益計算書は公開されており、誰でも確認が可能です。中小企業の年商は公開されていないため、企業へ直接問い合わせるか、信用調査会社に依頼する方法があります。
年間売上を計算する
自社の年商を確認したい場合、1年間の売上高をすべて合計することで計算できます。年商は経費や税金を差し引く前の金額であり、顧客から得た収入の総額です。
例えば、毎月60万円の売上がある場合、「60万円 × 12か月 = 720万円」が年商となります。ただし、月ごとに売上が変動する場合は各月の売上を合計する必要があります。
有価証券報告書を確認する
上場企業の年商は、有価証券報告書から確認できます。有価証券報告書は、上場企業が投資家向けに作成・公開する情報開示資料です。決算書の内容にくわえて、企業の概況、事業状況、将来の見通しなどが詳しく記載されており、その中に年商も含まれています。
他社の年商を調べたいときは、企業のホームページや金融庁が運営する「EDINET」から閲覧するとよいでしょう。
年商を確認する際の注意点

年商は企業の事業規模を示す重要な指標ですが、確認する際には注意すべき点があります。ここでは、年商を確認する際の2つの注意点について解説します。
企業の業績は年商だけではわからない
年商だけでは、企業の業績や収益性を正しく判断できません。年商は経費や原価を差し引く前の売上総額であり、実際に手元に残る利益とは異なります。年商が大きくても、人件費や材料費などのコストが高ければ、純利益は少なくなります。
例えば、年商10億円の企業より年商5億円の企業の方が純利益の多いケースもあるでしょう。年商はあくまで事業規模の目安です。企業の収益性を評価するには、純利益や売上高利益率といった指標もあわせて確認する必要があります。
同じ業界・業種の他企業の年商も参考にする
年商の規模や利益率は業種によって大きく異なるため、同じ業界・業種の他企業と比較することが大切です。
例えば、不動産業やコンサルティング業などは1件あたりの利益率が高いため、年商が比較的少なくても十分な利益を確保できます。一方、小売業や飲食業などは利益率が低い傾向にあり、利益を確保するには多くの商品を販売し、年商を大きくする必要があります。
このように、業種やビジネスモデルによって年商の水準は異なるため、単純に年商だけで他社と比較することは適切ではありません。自社の年商を評価する際は、同業種の企業を参考にすることで、より正確な経営状況を把握できます。
年商を伸ばす方法とポイント

企業の年商を伸ばすには、売上を増やすための具体的な施策が必要で、「顧客を増やす」「顧客単価を上げる」「業務を効率化する」といった3つのアプローチがあります。ここでは、年商を伸ばすための具体的な方法とポイントについて解説します。
顧客獲得数を増やす
年商を伸ばすには、新規顧客を獲得して販売数量を増やすのが効果的です。売上は「単価 × 販売数量」で計算されるため、販売数量を増やすことで年商アップにつながります。新規顧客を獲得するには以下のような施策があります。
- Web広告、SNSマーケティング
- インフルエンサーの活用
- SEO対策
- ダイレクトメール
- イベント開催
- サンプル、クーポンの提供
事業内容やターゲット顧客層に合わせた適切な施策の選択と実行がポイントです。複数の施策を組み合わせることで、より効果的な新規顧客の獲得が期待できるでしょう。小さな業務ならオンライン秘書を活用して進めていくのもひとつの手です。
リピート率・顧客満足度を向上させる
既存顧客のリピート率を向上させることで、販売数量を増やし年商を伸ばせます。リピート率を上げるには、顧客に「次も利用したい」と満足してもらう施策が必要です。具体的には以下のような方法です。
- ポイントプログラム
- クーポンの配布
- 既存顧客限定キャンペーン
- 購入回数に応じた特典、誕生日特典の提供
- 顧客の声を反映した品質改善
- 丁寧なカスタマーサポート
- メルマガやDMでの来店誘導
このような既存顧客に向けた独自のサービスを提供し、顧客ニーズに応えることで、長期的な関係を築くことが期待できます。
コスト効率を改善する
年商を直接押し上げる施策ではないものの、コスト削減によって利益率を改善することも重要です。固定経費の見直しや、ITシステム導入などの業務効率化により、人件費や時間的コストを抑えることができます。
特に効果的なのが、リモートワークの導入によって、オフィスの賃料や光熱費、通勤手当などの固定費を削減する方法です。フリーアドレス制でオフィススペースを縮小すれば、さらなるコスト削減も可能でしょう。
ただし、過度なコスト削減は従業員のモチベーション低下につながるため、バランスを考慮することが大切です。
労働環境・オフィス環境を整える
年商を伸ばすには、従業員が働きやすい環境を整えることも重要です。
自宅やシェアオフィスで働くリモートワーク、始業・終業時刻を自由に決められるフレックスタイム制など、柔軟な働き方を導入する方法も効果的です。通勤時間削減や育児・介護との両立が可能になり、従業員のモチベーションや生産性が向上します。
また、質の高いオフィス環境も事業成長の鍵となります。集中できる作業スペースやビジネス街の一等地など、立地の良い拠点を持つことは顧客や取引先に好印象を与え、信頼関係の構築にもつながるでしょう。
顧客訪問時の第一印象は、その後の商談にも影響します。プロフェッショナルな環境を整えることで成功率が高まり、結果として年商拡大を支える基盤作りも期待できます。
年商拡大を支援するサーブコープのオフィス

年商を伸ばすには、初期コストを抑えながらも顧客からの信頼を獲得できるオフィス環境が必要です。
「一等地にオフィスを構えたいが賃料が負担になる」
「人件費をかけずにプロフェッショナルな対応を実現したい」
といった課題を抱える起業家や経営者は少なくありません。
サーブコープは、世界150以上、国内32以上の拠点で展開するシェアオフィスサービスです。国内拠点はすべて東京・大阪・名古屋など主要都市に位置し、バーチャルオフィスでは一等地の住所で法人登記が可能なため、スタートアップでも大企業と同等の信頼性を確保できます。
また、秘書サービスをご利用いただければ、自社で雇用せずともプロフェッショナルな企業イメージの構築が可能です。
レンタルオフィス・バーチャルオフィス・コワーキングスペースの3タイプからワークスタイルに合わせて選択でき、世界基準のセキュリティとITインフラにより、安心して本業に集中できる環境が整っています。
\国内から世界まで!あなたを支えるサーブコープのオフィス/
詳細を見る
年商に関するよくある質問

創業・起業時の年商・売上高の使い方は?
創業・起業の前後では、「年商」と「売上高」が使われる文脈に違いが見られます。
事業計画や資金調達の場面では、売上の見込みを示す表現として「売上高」が用いられることが多く、1年分の実績がそろった段階では、年間の売上を指して「年商」という言葉が使われるケースもあります。
年商だけで利益率はわかる?
年商だけで利益率はわかりません。年商は1年間の売上総額を示すもので、利益は売上から原価や人件費、賃料などの経費を差し引いた後に残る金額だからです。
年商が高くても経費が多ければ利益は少なくなり、事業継続が難しくなる場合もあります。事業の健全性を判断するには、年商だけでなく、利益率や純利益といった指標もあわせて確認することが重要です。
年商100億以上ある企業は何社ある?
帝国データバンクの「「100億企業」の実態調査(2025年)」によると、2023年度決算時点で年商100億円以上の企業は全国で1万5,159社でした。これは国内企業約149万社の1%にあたり、100社に1社という割合です。
業種別では伊藤忠商事など卸売業が4,236社と最も多く、次いでトヨタ自動車など製造業が4,007社となっています。都道府県別では東京都が6,124社と突出しており、100億企業の約4割が東京都に集中しています。
出典:帝国データバンク「「100億企業」の実態調査(2025年)」
(まとめ)年商を正しく理解してビジネスの成長につなげましょう

年商は企業の事業規模を把握するための指標のひとつですが、売上高・利益・年収などの混同しやすい指標とは区別して理解することが大切です。
年商を伸ばしていくには、新規顧客の獲得やリピート率の向上にくわえ、コスト効率の改善や柔軟な働き方の導入など、事業全体を見据えた取り組みを進めていくとよいでしょう。
サーブコープでは、シェアオフィス、レンタルオフィス、バーチャルオフィスにくわえ、秘書サービスを組み合わせた柔軟なオフィスソリューションを提供し、オフィスコストの最適化と企業の成長をサポートしています。ビジネスの発展に最適な環境について詳しく知りたい方は、お気軽にサーブコープまでお問い合わせください。



