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フレキシブルオフィスとは?市場規模や種類、メリットなどを紹介

コワーキングスペースフレキシブルオフィスは、働き方に合わせて柔軟に利用できるオフィススペースやオフィス機能の総称です。フレキシブルオフィスには、コワーキングスペース・バーチャルオフィス・シェアオフィス・レンタルオフィスなどの種類があります。フレキシブルオフィスのメリット・デメリットからその選び方、活用法まで、この記事で解説します。

フレキシブルオフィスとは

レンタルオフィス

フレキシブルオフィスとは、一般的な賃貸契約のオフィスビルと比較して、より柔軟に利用可能なワークスペースやオフィス機能の総称です。

フレキシブルオフィスには、利用目的に応じて選べる数種類の利用形態があります。ニーズに応じて選択することで、コストを抑えつつ快適に働く環境を整えることができるのが魅力です。

フレキシブルオフィスの市場規模

働き方改革やコロナ禍によるテレワークの急速な普及、人手不足による求人難など、さまざまな要因を背景に「より柔軟に、より働きやすい」オフィス環境を求める企業が増えています。

ザイマックス不動産総合研究所の「フレキシブルオフィス市場調査2024」によると、オフィス需要の高い都心部を中心に、首都圏以外でもフレキシブルオフィスの供給が全国に広がっています。

特に東京23区内ではフレキシブルオフィスの供給が圧倒的に多く、1437件もの物件があり、その総面積は約25.5万坪にも及びます。サッカー場約118個分、東京ドーム約18個分に相当する広さです。一般の賃貸オフィスビルと比較検討するべき候補としての存在感がある規模と言えるのではないでしょうか。

フレキシブルオフィス

全国主要都市のフレキシブルオフィスの拠点数 出典:「フレキシブルオフィス市場調査2024」(ザイマックス不動産総合研究所)

フレキシブルオフィスの種類

全国に普及し始めているフレキシブルオフィスですが、そのサービス形態にはいくつかの種類があり、それぞれにサービス名称がつけられています。

各サービス形態で特に違いがあるのは以下の3点です。

  • 実際に作業スペースがあるか
  • 専有できるスペースはあるか
  • 執務スペース以外のオフィスサービスが提供されるか
執務スペースの有無専有スペースの有無執務スペース以外のオフィスサービス
コワーキングスペース×交流イベントの開催
コピー機やネット環境
などオフィス設備
バーチャルオフィス××住所貸し・電話転送
シェアオフィス×コピー機やネット環境
などオフィス設備
レンタルオフィスコピー機やネット環境
などオフィス設備
サービスオフィスコピー機やネット環境
などオフィス設備
各種有人対応
セットアップオフィス×

 

フレキシブルオフィスの種類について、それぞれの一般的な定義、サービス内容を紹介します。

コワーキングスペース

コワーキングスペースとは、比較的オープンに設計されたオフィススペースを複数のワーカーや会社で共有するサービスです。利用者同士の交流が生まれるようイベントが開催されるなど、コミュニティ参加・創出を目的とした利用者も少なくありません。

バーチャルオフィス

バーチャルオフィスとは、ビジネス用の住所貸しサービスです。執務スペースはなく、安価に対外的な住所や電話番号を確保することができます。

シェアオフィス

シェアオフィスとは、フリーアドレス形式で他の会社やワーカーと執務スペースを共有するサービスです。ロッカーやブーススタイルのデスク契約が可能なサービスもありますが、完全に区切られた占有スペースはないため、安価に執務スペースを利用できます。

レンタルオフィス

レンタルオフィスとは、オフィスビルのフロアを比較的少人数用の独立した執務スペースに区分し、あらかじめ備え付けられたオフィス家具やインフラ、共有の貸会議室やラウンジ、給湯スペースなどを含めて提供するフレキシブルオフィスの一種です。

オフィス立ち上げのための初期投資を抑えつつ、通常は少人数向けには賃貸借契約が難しいビルにもオフィスを構えることができ、スピーディーな事業立ち上げも可能というメリットがあります。

サービスオフィス

サービスオフィスとは、レンタルオフィスが提供する専有執務スペースや共有ファシリティに加え、受付スタッフや秘書、電話代行やITサポートなどのさまざまな有人サービスやラウンジ・バーなどの福利厚生設備が充実したより「高付加価値型」のフレキシブルオフィスの一種です。

通常では自社で雇用しなければならないスタッフの採用や教育といった手間をかけずに、必要な時だけ必要なサービスを受けられるというメリットがあります。

セットアップオフィス

セットアップオフィスとは、オフィスビルの貸主側が内装工事まで行い、すぐに利用開始できる「オフィス家具・設備付きオフィス」です。これまで紹介した上記のフレキシブルオフィスサービスが「利用契約」であるのに対し、セットアップオフィスは一般のオフィス賃貸と同じように賃貸借契約を結びます。柔軟なオフィススペース活用の選択肢の一つであることから、フレキシブルオフィスの一種と言えるでしょう。

フレキシブルオフィスの6つのメリット

フレキシブルオフィスコワーキングスペースやシェアオフィス、レンタルオフィス、サービスオフィスなどのフレキシブルオフィスを利用する際の6つのメリットを紹介します。

1.低コストで利用できる

一般的な賃貸オフィスの場合、敷金・礼金やオフィス家具・什器の購入にまとまった資金が必要なうえ、解約の際も半年以上前での予告や原状回復をしなければならないなどのコストがかかります。フレキシブルオフィスの場合、それらの費用は基本的に不要です。

2.短期間だけの契約ができる

フレキシブルオフィスは短期間の利用契約が可能です。月単位の契約ができるため、例えば本社リフォーム工事の間だけといった使い方ができます。コワーキングオフィスなどスペースを占有しないフレキシブルオフィスの場合、最短で1日のみの利用が可能な事業者もあります。

3.設備が揃っている

デスクにオフィスチェア、コピー機やFAX、インターネット環境、打ち合わせブースなど、すぐに業務に取り掛かるためのオフィス設備がすでに揃っており、利用初日から業務をスタートできます。

4. 複数の場所を拠点にできる

主要ターミナル駅など、複数のフレキシブルオフィスを展開している事業者には、どこの拠点でも利用可能な契約プランを用意しているサービスがあります。取引先を回るお仕事の「隙間時間」に書類作成やメール返信ができる場所を確保できます。

5.優秀な人材を確保しやすい

「駅からアクセスがよく、その街のランドマークになるような最新オフィスビル、それも働きやすさにこだわったセンスのよいインテリアに囲まれたオフィス空間で働く」ことは優秀な人材を確保するうえで大きなインセンティブとなるでしょう。

6. 他の業界・業種の人と交流できる

フレキシブルオフィスは他のワーカーと共有するスペースがあることが多く、フレキシブルオフィスでの交流をきっかけに新しい知見を得たり協業につながったりといった効果も期待できます。

フレキシブルオフィスの3つのデメリット

デメリット

さまざまなメリットのあるフレキシブルオフィスですが、導入にあたって一般的な賃貸オフィスと比較してビジネス上のリスクとなるデメリットも存在します。特に導入に際して検証すべき3つのデメリットを紹介します。

1.セキュリティのリスクがある

他のワーカーとスペースを共有する場合、社外秘の書類やPC画面をそのままに離席する、打ち合わせや電話での声が第三者に聞こえてしまうなど、情報漏洩のリスクがあります。

2.社員の管理が複雑になる

特に複数の拠点を自由に選べるフレキシブルオフィスを活用する場合、社員の勤怠管理や評価方法をあらかじめきちんと設計する必要があります。

3.設備の変更が難しい

フレキシブルオフィスはオフィス家具や什器をはじめ、内装がすべて用意されていることが大きなメリットです。しかし、会社のイメージを共有するためにオリジナリティのある受付を用意したい、社員一人一人の好みに合わせたオフィスチェアを導入したいなど、設備の変更を行うことは難しいでしょう。

フレキシブルオフィスの利用の流れ

フレキシブルオフィスを利用する際、利用を開始するまでの一般的な流れを紹介します。一般的なオフィスの賃貸借契約と比較すると、ステップも少なく、ビジネスを短期間で立ち上げることができますが、都心部では多くのフレキシブルサービス事業者があるため、十分な比較検討をおすすめします。

1.情報を集める

フレキシブルオフィスは近年急増した比較的新しいサービスです。法的な定義や規制はなく、各事業者によって同じサービス名称でも実際のサービスは異なる場合があり、料金やクオリティも千差万別です。自社に必要なサービス品質が何か把握するためにも、住所地や料金以外のサービス内容についてしっかり情報収集を行いましょう。

特に大きな違いとなるのは、有人サービスの有無と範囲、利用可能時間、セキュリティレベル、使われているオフィス家具のセレクトです。

2.内覧を予約する

いくつかのフレキシブルオフィス検討候補が決まったら、必ず内覧を行いましょう。実際に足を運んで駅からの距離やオフィスビル内部でのわかりやすさ、利用者層を確認します。フレキシブルオフィス事業者によっては体験利用ができる場合もあります。

フレキシブルオフィスのなかには、入居審査が必要なもの、入居に際して条件があるものもあります。また、法人登記も検討している場合、登記不可なフレキシブルオフィスは除外する必要があります。入居に際しての諸条件を内覧の際に必ず確認しておきましょう。

3.申し込みをする

フレキシブルオフィスの申し込みは、サービスの種類や事業者によって大きく異なります。オンライン申し込みだけで完結するところもあれば、登記簿謄本や印鑑証明などの各種照明が必要なところもありますが、一般的な賃貸オフィスと比較すると利用スタートまで短時間で手続きできることが多いでしょう。

4.オフィスの移転を進める

フレキシブルオフィスは契約後すぐに業務を開始できるオフィス家具や什器が揃っているところがほとんどです。旧オフィスから何を持ち出し、何を廃棄するかは早めに検討しておきましょう。

HPや封筒に記載する住所や電話番号の変更、登記の住所地変更なども忘れずに進めてください。

フレキシブルオフィスを選ぶ際の3つのポイント

日比谷オフィスフレキシブルオフィスを選ぶ際、特に重要な3つのポイントがあります。より満足度の高いフレキシブルオフィス選びのために活用してください。

1.目的に沿ったフレキシブルオフィスを選ぶ

フレキシブルオフィスに限らず、オフィス選びでは「何を目的にオフィスを用意するのか」を担当者全員で共有することからはじめましょう。

「お客様向けのショールームを兼ねたオフィス」と「オンライン販売事業者の特定商取引表示に必要な連絡先」では、必要な条件がまったく異なります。

特に、働き方改革のためのオフィス選びや採用力向上のためのオフィス選びでは、自社の事業内容や社員の要望によって優先項目が変わってきます。実際の導入事例を参考にしながら、自社のオフィス移転の目的を検討してください。

2.オプションのサービスも確認する

フレキシブルオフィスにはさまざまなオプションサービスを用意している事業者があります。「現時点では必要ないが、将来的に事業拡大をするかもしれない」といったケースに備え、オプションサービスの内容と価格も検討項目に加えましょう。

3.基本料金だけで判断しない

フレキシブルオフィスはそのサービスの幅広さから価格も非常に幅広く設定されています。もちろんコストはフレキシブルオフィス選定の重要な要素の一つですが、フレキシブルオフィスの利用条件や追加料金がかかるオプションの有無などによっては、一見安価に見えるオフィス事業者の方が高額になってしまった、というケースもあります。

基本料金だけで判断せず、総合的にコストを確認するようにしましょう。

フレキシブルオフィスの活用方法

フレキシブルオフィスフレキシブルオフィスは、その選択肢の豊富さと導入の手軽さから、単なる執務スペースではないさまざまな活用方法があります。そのなかから、代表的な3つの活用方法を紹介します。

緊急時の一時的なオフィススペース

「本社に耐震工事の必要があるため一時的にオフィスを移転しなければならない」
「大雨で入居していた賃貸オフィスが床上浸水。急遽場所を確保する必要がある」
「研修を実施する2か月間だけ利用できる拠点が欲しい」
このような、緊急的・一時的なオフィススペース確保にスムーズに対応できます。

多様な働き方の実現

「通勤時間を短くするため、社員それぞれが自宅から近いターミナル駅で就業できるように拠点を設けたい」
「外回りの営業社員が帰社しなくても社内データにアクセスできる場所、オンライン会議に参加できる場所を確保したい」
「地方でのワーケーションの拠点を作りたい」
このような多様な働き方を支える場所としてフレキシブルオフィスはピンポイントに利用できます。

地方での仕事への対応

「地方支社を設けるほどではないが、毎月出張が発生する程度に地方に訪問先がある」
「販路拡大のため、一時的な地方支社を作ってテストマーケティングを実施したい」
近年地方主要都市にもさまざまなタイプのフレキシブルオフィスが進出しており、選択肢が広がっています。

(まとめ)自社に適したフレキシブルオフィスを選びましょう

フレキシブルオフィスには多種多様なサービスがあり、自社のニーズに合わせてさまざまな選択肢のなかからフレキシブルオフィス事業者を選ぶことができます。

オフィスの新しさや駅からの距離などわかりやすい違いのみならず、スタッフのスキルや対応範囲、利用者層などを見極めるため、実際に足を運んで自社のオフィススペースとしてふさわしいフレキシブルオフィスを選びましょう。

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