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流行を読んで、強みをチャンスに!マイニング・ザ・マイナーズの教訓

    記事72_1「マイニング・ザ・マイナーズ」という言葉を知っていますか?この言葉は、小泉内閣の一員として構造改革を推し進めた竹中平蔵氏が、日本経済再生のキーワードとして、よく紹介する言葉です。今回は、「マイニング・ザ・マイナーズ」が教えるビジネスの教訓についてご紹介します。

     

    ■金を求めて集まった採掘者たちを発掘しろ!

    「マイニング・ザ・マイナーズ」は、英語で書くと“mining the miners”。“mine” は「採掘する」という意味で、“miner” は「採掘する人」。ただ、「マイニング・ザ・マイナーズ」は米国のゴールドラッシュの時代のことを言い表している言葉で、ここでいう“the miners” は、「金を求めて集まった採掘者たち」を指します。

    つまり、「金を求めて集まった採掘者たちを発掘しろ!」という意味なのです。

     

    ■ゴールドラッシュの歴史

    Old gold-digger villageドイツから米国に移住し、サンフランシスコに農場を開拓したジョン・サッターは、1848年1月、アメリカン・リバーの川底に金を発見します。ほどなく、この話が漏れ、多くの人が金を求めてサンフランシスコに押し寄せるようになり、翌1949年になると、全米から続々と“the miners”が集まってきました。1848年に1万4000人だったカリフォルニアの人口は、1849年末に10万人、1852年には25万人にまで膨れ上がったといわれています。

    1849年までカリフォルニアはメキシコ領で、事実上、無政府状態の自由の地でした。しかも、カリフォルニアの金鉱脈は地表に露出していたため、採掘に大規模な設備は不要で、誰でも、自由に(規制されずに)、参入できたのです。

    金採掘ビジネスの結果は、1848年初期の頃は1日で2000ドルの金を掘り当てた人も稀ではなかったといいますが、1849年になると、1日10ドルの金が取れればいい方だという状態でした。当時のカリフォルニアは辺境の荒野で、そこに10万人もの人がいちどきに押し寄せたのですから、生活物資は不足し、猛烈なインフレが襲い、“the miners”の生活は困窮を極めました。

    金の最初の発見者、サッターは、暴徒化した”the miners” に襲撃され、避難を余儀なくされます。その後訴訟を起こし、採掘された金に対する権利を主張しますが、裁判には勝ったものの、1855年、暴動により3人の息子は殺害され、自身も精神に異常をきたし亡くなったそうです。

     

    ■ゴールドラッシュで大富豪になった人たちの共通点とは?

    successful businessman金採掘に殺到した人々のほとんどが、夢見た大富豪にはなれませんでした。しかしゴールドラッシュの中、ビジネスで大成功を収め、大富豪になった者が4人(3組)いました。

    1人目
    サンフランシスコの商人だったブラナンは、金発見のニュースをかなり早い段階で知りました。それと同時に、シャベル、テント、金桶、その他生活必需品を買い漁り “the miners” 相手に商売を始めました。20セントで仕入れた金桶を、15ドルで売ったといいます。

    2人目
    ニューヨークで衣料品業に関わっていたストラウスは、1850年に金が出たことを知り、サンフランシスコに行って小さな衣料品店を開きます。そして、テント地を使って丈夫なズボンを作ると、このズボンが大当たり。テント地がなくなると、次にフランス製のサージ(Serge de Nimes)という生地を輸入し、丈夫で履き心地のいいズボンを作り大ヒットさせます。

    サージを使ったズボンは、その後、略して「デニム(Denim)」と呼ばれるようになりました。ちなみにストラウスのファーストネームは「リーバイ」。Levi’s ジーンズの起源は、“the miners”向けの採掘作業用ズボンだったのです。

    3人目・4人目
    ウエルズとファーゴの二人組は、1852年、郵便と電信の会社「ウエルズ・ファーゴ社」をサンフランシスコに設立します。その後、駅馬車会社を買収し、大陸横断の馬車便を始めました。“the miners” が家族と連絡を取る、あるいは家族に送金するために必要な郵便・電信・輸送(物流)を独占したウエルズとファーゴは、安全で信頼できる輸送・送金システムをつくり上げ、大成功を収めました。

    Golden Egg and Thousands of Dollars with American Flag Reflection on Table.ゴールドラッシュで大富豪になった4人(3組)の共通点は“金を掘らなかった”ことであり、“the miners”のニーズを掘り当てた!ことです。

    ゴールドラッシュを振り返って、竹中氏は次のような教訓を読み取らなければならないと指摘するのです。

    「ブームが起きたからといって、単純にそれに追随しても儲かるわけではない。しかし、ブームが起きたところには、必ず人と、金と、モノが集まり、ビジネスの種が存在する。それを見つけて、自分にできること、自分の強みが生かせることで事業を起こすことが大事だ」

    現代でいえば、スマートフォンのブームが起きて事業を拡大させたのは、新興のゲーム制作会社に代表されるIT系企業だけではありません。スマートフォンのカバーという関連商品がヒットしたことで、カバーをつくった製造業の会社も儲かったことでしょう。あるいは、関連サービスの市場規模が1兆円と言われるマイナンバー制度の導入にあっては、ネット上のセキュリティやシステム開発に注目が集まっていますが、金庫も売り上げを伸ばしています。

    ビジネスを成功させるための法則は、いつの時代にも共通しています。新しいムーブメントをいち早く知ること、その中で必要とされるニーズを読むこと、そのニーズを満たすために一番に動くこと。それらが揃って、初めて大成につながります。大きなビジネスチャンスを捉えられるように、いつでもアンテナを張り巡らせておくことが重要となるでしょう。

     

    ※参照
    『WEB RONZA/ゴールドラッシュの教訓を生かす者が勝者となる』(2015年3月18日付記事)
    http://webronza.asahi.com/science/articles/2015031600003.html

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