サーブコープブログ知識・ノウハウ税金だけじゃなく経費の面でもこんなに違う!個人事業と法人のお金の差

税金だけじゃなく経費の面でもこんなに違う!個人事業と法人のお金の差

税金だけじゃなく経費の面でもこんなに違う!個人事業と法人のお金の差
起業する際、「個人事業」を選ぶか、「会社組織」を立ち上げるかどうかは、多くの起業家や起業を志している人にとっての最初の問題になるでしょう。今回は、税金や経理処理の面から考えてみます。

税金面での比較

個人事業主と法人(会社組織)では、利益に課税される税金に違いがあります。

・課税される税金

個人事業主の場合、利益は「事業所得」となり、所得税・住民税・個人事業税によって課税されます。対して、法人の場合、会社の利益は法人税・地方法人税・法人住民税・事業税によって、経営者に支払われる役員報酬は「給与所得」となるので所得税・住民税によって課税されます。
所得税と法人税の大きな違いは、課税計算の方法と損失の繰越にあります。

・課税計算の方法

所得税は、「所得金額×税率(%)- 控除額」で計算しますが、所得が高くなれば高い税率が適用される累進課税になっています。法人税は、原則一律23.9%ですが、資本金が1億円以下の法人(中小企業)の場合、課税所得800万円以下の部分に15%、課税所得800万円超の部分に23.9%の税率が適用されます。

法人の場合、経営者の役員報酬に課税される所得税分も考慮しなければならず、一概には言えませんが、利益が大きくなるほど法人のほうが課税負担が少なくなるケースが多いようです。

・損失の繰越

また、損失金が生じてしまった場合、所得税も法人税も、翌年(翌期)以降に損失を繰り越すことができます。ただし、繰り越すことのできる期間は異なっていて、所得税は3年間、法人税は9年間です。

経費計上面での比較

個人事業と法人では、経費として所得から控除できるものが多少異なっています。

・交際費

個人事業では、支出が取引の記録として残っており、業務の遂行上、直接必要であったことが認められる交際費は、全額を必要経費に算入することができます。
2015年9月(平成27年)現在、資本金が1億円超の法人では、交際費の支出は、50%相当額を損金算入することができます。資本金が1億円以下の法人では、飲食費の50%相当額の損金算入か、定額控除額800万円までの支出での損金算入か、どちらかを有利な選択ができることになっています。

・事業主の給与

個人事業では、事業を手伝う家族に支払う給与を必要経費(青色事業専従者給与)とすることができます。しかし、その支払金額や対象者には制約があります。さらに、事業主本人に給与や報酬という名目で支払ったとしても、それらを損金扱いすることはできません。
一方、法人では、適当と認められる枠内であれば、経営者など役員に対して支給した報酬を損金算入することができます。また、事業に従事している家族を役員にすれば、家族にも役員報酬を支給することができます。

・役員退職金

個人事業においては、事業主が事業を辞めてしまえば収入が途絶えるわけで、実質的に退職金というものはありえません。
法人の場合は、「役員退職慰労金規程」などの社内規程を整備しておけば、退職する役員に対して役員退職金を支給し、その金額を損金に算入することができます。ただし、不相当に高額な場合は、損金算入が否認されます。

個人でも法人でも留意すべきなのは税率

税率の違い

以上、個人事業の場合と法人の場合を比較した税金と経理処理について、大きな差異がある点をまとめてみました。その中で、特に留意してほしいのが、所得税、法人税の税率です。

前述の通り、所得税は累進課税です。そして、その最高税率は、2015年から45%に引き上げられました。
一方、法人税の税率は一律で、資本金1億円以下の企業(中小企業)に特例が適用される仕組みになっています。しかし、法人税率は、いわゆるアベノミクスの影響から下がり続けています。
法人に対する税率は、通常では国税・地方税を合わせた「法人実効税率(標準税率)」を使って表します。この法人実効税率が、2014年度は34.62%でしたが、政府は「数年で20%台まで下げる」との方針を決めました。2014年度に比し、2015年度は2.51%下がり、2016年度には3.29%下げる予定になっています。

高い所得税率が適用されるような富裕な個人事業主が法人を設立して法人経営に切り替えるという“節税手法”は、昔から知られていました(一般的に「法人成り」と呼ばれています)。が、安倍政権の下、法人税率と所得税率の落差が拡大しており、この節税手法の“メリット”が大きくなっているのです。個人事業と法人事業のメリット・デメリットに関しては「個人事業と会社組織、どちらが起業に有利か?」の記事でも紹介しましたが、事業の展望など将来設計に即した起業形態を選択したいですね。

※ 参照元
「J-Net21」関連記事
http://j-net21.smrj.go.jp/establish/abc/manual/manual65_1.html
http://j-net21.smrj.go.jp/establish/startup/jirei_e001.html

『東洋経済オンライン「法人実効税率、2015年度2.51%引き下げへ」
http://toyokeizai.net/articles/-/56970

『朝日新聞』2015年8月23日朝刊

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